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□約束は安心させる為にある
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「あれ?ロビンは?」
「ん?おかしいな……さっきまでそこで本を読んでいたと思うが」

 はて?と船医は首を傾げた。彼の視線の先を見遣ればもぬけの殻となったベッドがある。わかった、と返事をすれば彼は顕微鏡へと向き直った。
 先の戦闘でロビンは俺を庇って負傷した。たいした怪我ではなかったのだが、重要なのは怪我の大きさじゃない。もちろん大怪我じゃなくてよかったけど。
 −−−俺のせい。弱い俺のせいでロビンに怪我をさせたことが悔しかった。

「……いつになったら俺はロビンを守れるんだよ」

 ぐっと拳をにぎりしめる。そうしないと泣きそうだ。カッコ悪い。弱い上に泣き虫なんて最悪だ。
 不意にふわっと頭を優しく撫でられた。ビックリして顔をあげるも、そこには誰もいなかった。まさか、と思い辺りをキョロキョロと見渡せば……

「ロビン」

 背後の柱の影から目当ての人物が姿を現した。

「泣いているのかと思ったわ」
「泣かないよ」
「くすっ。そうね」

 まるで全てを見透かすように、彼女は優しく微笑んだ。ふと、視線が彼女の左腕にいく。真っ白な包帯が綺麗に巻かれている。

「ごめん」
「怪我のことなら気にしないで。海賊なんだもの」
「でも不必要な怪我だ。俺の……俺のせいだ」
「そんなこと考えていたの?」

 呆れたように彼女は息をはいた。

「それなら、私が貴方に守られた時も私は申し訳なく思うわ」
「え?」
「私のせいで貴方に怪我なんかさせたくないもの」
「っ」

 優しい笑みと一緒にそんなこと言われたら何も言えなくなる。卑怯だ。……また自分が子供じみた思考だったと惨めになる。

「ロビン」
「なに?」
「…………ありがとう」

 小さく呟くように発された俺の言葉にロビンは微笑んで、どういたしましてと返してくれた。

「でも、でも俺は絶対ロビンのこと守れるくらい強くなるから!」
「ふふ。期待して待ってるわ」

 今度はどこか寂しげに彼女は微笑んだ。でも自分の不甲斐なさにうちひしがれていた俺は、そのことに気づけなかった。





 君に誓った約束は、
 安心させる
 あるものじゃない

 これは俺に対する
 揺るぎない誓い

 必ず君を守る
 どんな困難も悲しみも
 俺が振り払うんだ

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