銀魂拍手小説
□嘘から出た真
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どうして昨日、悪戯を決行したか
エイプリルフールでもあるまいし、ただただ今日が土方さんと二人の見回りで、ネタバラシが丁度よかったってだけ
屯所を出てからまだ一言も言葉を交わしていない
横に並んで歩いて、土方さんはきっと見回りどころじゃねェはずだ
やっぱり顔は残念な仕上がりで、せっかくの男前が台なしになっていた
ま、台なしにしたのは俺だけど
そろそろ可哀相になってきて、いや可哀相なんて思っちゃいねぇが、ネタバレするには丁度いい河原だった
「や〜……土方さん、よっぽど眠れなかったみたいですねィ。もしかして真剣に俺との事考えちまいやした?すいやせん、あれ……」
ぎゅうっ
右手に温かいものを感じた
さっきまでよそよそしい距離をとっていた土方さんが、右側に寄り添い……え……ナニコレ………
え、気持ち悪ィんだけど…………………………………………………………………………………………………
「なななな何してんでィ!?土方コノヤロー!!!」
繋がれた右手を振り払おうと、必死にブンブン振り回したが相手の力が強くて離れなかった
「総悟……これが俺の答えだ………」ポッ
「は、はァアアアア!?冗談はよしなせェ!!何が悲しくて男同士で手ェ繋がなきゃ……土方さん!嘘だから!昨日の告白はアンタをからかっただけっ……んぅ!?」
気が付けば煙草臭い隊服に押し付けられた自分の体
小さい分、俺が不利だった
「ま、待ちなせェ……つか離せ土方!!こんな真昼間に何して……ヤダヤダ!俺のイメージが!!」
「暴れんな、総悟。俺ようやく気付いたんだよ……いつも誰が傍に居てくれたか……辛い時も楽しい時も、いつも隣にはお前がいた……」
「いや近藤さんも居たから!むしろ局長と副長の方が長い時間一緒に居んだろ!!馬鹿なんでィ!?土方さん!!」
ジタバタ暴れてみても、なかなか手が離れない
手どころか、体も離れなくて全身びっしょり汗が吹き出した
「謝りやすから勘弁して下せェ!!それ以上一人で盛り上がんねェで下せェ!!」
「餓鬼ん時から一緒だったから、あんまり意識してなくてよ……でも言われてみれば俺もお前の事見てたんだよ。気付かなくて遠回りしたみてぇだな俺達。昔はよく一緒に風呂とか入ってたよな…どうだ?今晩あたり久しぶりに……」
「だから!俺はアンタのことなんとも思っちゃ………っっ!?
ひ、土方ァア……テメェ……………ナニ想像してナニ盛り上がってんだァアアアア!!!」
ドガァアアンンンッッ!!
これは完全に正当防衛だ
まさかあの土方さんがあんな事になるとは……
自分で丸焦げにした土方さんを担いで屯所に戻る
ざわつく隊士達を全員無視して、土方さんの部屋に運んだ
「………………」
そりゃずーっと一緒にいたけど
誰よりもアンタの背中追っかけてたのは俺だけど
好きとか……違うからっ……
「気持ち悪ィ……」
このまま土方さんが目を覚ますまで
今度は俺が眠れない
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