銀魂夢小説

□俺のお姫様
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珍しく屯所の廊下を走る土方十四郎

見廻りの最中、近藤から電話で呼び戻されて部屋に向かっている

電話口での近藤は随分と慌てた様子で、何か厄介な問題が持ち込まれたんだろうと、察しはついた


「近藤さん、入るぜ」


失礼とは思ったが、急いでいる身だという理由で、言葉と同時に襖をあけた


「おぉトシ、ようやく来たか。実はな「とおちろう!遅いぞっ」


近藤の声を遮るように邪魔をしたのは、聞き覚えのない甲高い幼い声だった

近藤の胡座の上にちょこんと座り、バンバンとテーブルを叩いて自分をアピールしている

年の頃は5、6歳か
頭の高い位置で髪を結わえた女の子が、そこに座っていた


「とうちろう!おかえりなさい!」


立ち上がって素早く土方の前に行くと、足に抱き付いて喜びを表現

全く状況が飲み込めない土方は、ただただ少女を見つめていた


「さっすが土方さん。女を手なずけるのもお手の物で」


部屋に沖田が居ることすら気付かなかった

足に絡まる少女を気にしながら、近藤に説明を求めた


「え、トシ。お前この子のこと知らないの?手紙に『土方さんに全てお任せします』って書いてたんだけど」


経緯はこうだ

屯所に手紙を持った女の子が一人でやってきた
手紙には、今日1日この子を預かって欲しいというお願い

土方に言えばわかるとのこと


「いや、全然知らねぇけど!なんだよその手紙!誰なんだよコイツは!」

「コイツってゆーなぁ!あたちのことは姫って呼んで!」


むぎゅ〜っと抱き付かれて、話の腰を折られる

わけがわからぬまま、少女と近藤の顔を交互に見た


「土方さぁん、ちゃんと思い出して下せェよ?コイツを5歳と仮定して………大体6年前くらいに、ヤラかしたってこと、ないんでィ?若かったんだし」

「ヤラかしたってなんだよ!変な言いがかりつけんじゃねぇ!俺はそういうところは慎重なんだよ!それに今だって俺ぁ現役だぞ!?」

「え!ウソ!トシ現役なの!?そういうコトとはすっかり無縁だと思ってたのに………裏切り者ォオオ!!」

「げんえきげんえきー!」


拳を突き上げて叫ぶ少女の口を優しく塞ぐ

視線でうるさいと告げると、涙目になられた


「とおちろうが怒ったぁ………ふぇえっ……」

「ち、違っ!!オイ、泣くなって!だ、誰か助けて!」

「助けてったって、一番土方さんになついてるじゃねェですか。そもそも土方さん宛てなんだから、ソイツ」

「だから俺はこんな子知ら「とおちろうだっこー!!」


隊服をグイグイ引っ張られて、よじ登ろうとしてくる

根負けして少女を抱えると、近藤と沖田は大爆笑した


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