花と蜜バチ

□いざこざ篇[壱]
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トラブルメーカー:何かあるごとに揉め事を起こす人、またはその原因となる人、問題児

追記するなら――


その人自体は自分がトラブルメーカーだということに気付いていない





「お、結ちゃん!入って入って!」


近藤に手招きされ、真選組屯所の門をくぐる

部屋にまで案内されると温かいお茶と菓子が出され、何回目かの結の訪問にさすがの近藤も慣れてきたのである


「あれからどうですか総悟くん、体調崩してないですか?」


いただきますとお菓子を一口


「あぁ、もうすっかり良くなったよ!元気になりすぎて困ってるけどね」

「ニュース観ましたよ。また始末書行きですね」


二日前の出来事を話題に出すとどちらともなく笑い、沖田の話は続いた


「でも…総悟の奴も結ちゃんと出会ってから少しは大人しくなったと思うんだよ……大人しくというよりは落ち着いたっていうか…」


保護者意識の強い近藤は目を細めて感慨深く一人頷く


「そうですか?ためらいなくバズーカぶっ放す人が落ち着いた人ですかァ?」


くすくす笑うと近藤も苦笑いして


「いや、まぁ…そういう所は変わってないかもしれないけど、なんていうか…精神的に余裕が出たっていうか…ね」

「精神的…?」

「あぁ。もともと総悟は…ほら、姉さんいるの知ってるかい?」

「あ……ミツバさんとか…確かそんな名前でしたよね?」

「そうそう、ミツバ殿!ちょっと年の離れた姉さんでよ、これがまたキレイでおしとやかで賢くて…自慢の姉さんなわけよ!なもんだからあいつちょっとシスコン気味でさ……そういう意味で結ちゃんは適任なわけよ!あいつが唯一心を許せるミツバ殿と同じ年上だし…総悟も落ち着くんだろうよ!」


少し冷めたお茶を喉に流して、近藤は嬉しそうに一人で話し続けた


「結ちゃんと付き合いだしてからはミツバ殿の話はめっきり減ったよ。結ちゃんに十分甘えられるから自然の流れかもしれないけどね。離れて暮らしてる姉さんに焦がれてるヒマもないって具合で」

「………」





「じゃあ、また来てくれよ!日中は出払って居ないことも多いけどさ」


会釈をして門を出た


アレ……?

私何しに来たんだっけ?


思い出そうとしたら、左手の紙袋に気が付いた

あぁ……この前友達と行った旅行のお土産渡しにきたんだった

すっかり忘れてた

まぁいいや

明日にでも総悟くんには会うだろう

その時渡せば








お土産の事なんかどうでもいい


『私はミツバさんの代わりなの?』


次に会った時、言葉にしそうで怖かった


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