花と蜜バチ

□いざこざ篇[参]
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のどがカラカラで気持ち悪い

なんかこの感覚久しぶり

洗面台に手をついてうなだれると、飲み過ぎたと後悔する結


(銀時に悪いことしちゃったな…)


酔っていたものの記憶はある

普段絶対に人には見せないであろう醜態を、よりによってアイツに見せるとは

なんだか恥ずかしくなって風呂場に直行する

夜勤が始まるまでにはまだ時間はある

とにかくこの酒臭い身体をなんとかしなければとシャワーを浴びた


あがるとケータイを確認する

沖田に送ったメールの返事はきていなかったが代わりに着信があった

髪を乾かしてからかけ直そうと手を離すと、折り返したのは約一時間後だった





昼過ぎに待ち合わせたファミレスへと向かう

風呂と本来酒に強い体質のおかげで、既に酒が抜けきった結は硝子の外に目をやりながら相手を待っている

数分後、店員に案内されて


「悪ぃ、遅れた」


と、坂田銀時は現れた


「おもいっきり二日酔いの顔してるけど?」


笑うと物凄い顔で睨まれる


「誰のせいだよ、誰の!あ、チョコレートパフェひとつ。お前の奢りな、結」

「意味わかんないんだけど。別払いにしようね」


苦笑いの店員が席を離れると、結は話し始めた


「……あの、昨日はありがとね?なんか…迷惑かけた……」


先に頼んでいたコーヒーに口をつけて照れを隠す


思い出すだけで昨晩の醜態は恥ずかしかった


「いや、別に……なんもしてねぇしっ…」


そしてこちらも目線を外した

本当に大した事はしてなかったし、なんせ面と向かって礼を言われる事に慣れていない

いい大人二人が向かい合って赤くなっている気持ち悪い空間を、銀時が打ち破った


「そ、そういえばよっ、さっきお宅の坊やがウチに来たんだけど」

「坊やって……総悟くん?なんで?」


その呼び方はやめてと嫌な顔をしながらも不思議そうに聞き返す


「なんでって多分……俺を殺しに来たんだろ、アレは」

「はァァァァ!?」


結の声が店中に響いて注目を浴びる

スイマセンスイマセンと赤面しながら謝った


「ちょっ、銀時!何わけわかんないコト言ってんのよ!総悟くんが殺すとか冗談でもやめてくれない!?」

「冗談じゃねぇよ、あの目はマジだったよ……今思えばあの時の水に毒が入っていなかったのは不幸中の幸い……」

「意味わかんないんだけど……もしかしてなんかやらかしたの銀時?」


結の言葉に銀時は固まった

いや、軽く震えている


「……なんかやらかしただと……?お前らバカップルのせいだろうが!!わけわかんねぇ疑いかけられてんだよ!沖田くんに疑われてんの!俺ァア!!」


勢い余って結の肩を掴んで訴えた


「は…?疑われてる?」

「そーだよ!!俺は今有らぬ疑いを……」


言いかけた時、自分達の座る窓側席が暗くなっている事に気が付いた

外の天気は晴れだというのに


アレ……なんかおかしくね?

アレ……暗いのここの窓だけじゃね?

アレ……なんかこの影、人型じゃね?


ゆっくり振り返ると外側から硝子に張り付いて極悪の笑みを浮かべている沖田総悟が


「……旦那ァ……」

「ぎゃァァァァ!!!!」


絶叫と同時にようやくパフェが届いた


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