Nobody can Say.

□リターンマッチ
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さっきからすごい視線を感じる…。



チームK公演で地方に来ていて
今日はホテルに泊まることになった。

けど
この部屋割りの意味がわからない。



いつもなら
佐江や梅ちゃんと一緒の部屋なのに

今日、目の前にいるのは

つまらなさそうに才加の顔を見てくる

ともちん…。



なにかに拗ねたようなまなざし…。



あの曲はともちんにぴったりだ。



”制服レジスタンス”



本当は素直ないい子だって知ってるけど…。





「ダサい…。」



いきなり呟いたともちんの言葉。



「何がですか…?」



「パジャマ…?それ。」



「はい。」



お尻に穴のあいたジャージにぼろぼろのTシャツ

うん。部屋着ならこれくらいだろ。



「ダサっ。」



「部屋で着るんなら良いじゃないですか。」



「ってかなんで敬語…?ずっと思ってたんだけど。」



「だって先輩じゃないですか。」



「年下じゃん。」



「…。」



「前はもっと…」



ともちんは言いかけてやめた…。



ともちんの携帯の着信音が鳴るとともちんはすぐに電話を取った。



なにかを話している。

明日、とか、何時、とかのセリフ

スケジュールの確認か。



忙しそうだな。



何も言わずに浴室に向かった。

ホテルの浴槽にお湯をためる。



きっと疲れてるだろうからゆっくり湯船につかった方が良いだろう…。



ともちんの電話が終わるまで浴室の前に座って
電話の会話をきかないように気を使った。





番組の収録とかライブとか公演とか
そういう場だったら
ともちんともタメ口で話したり
からかったり
からかわれてつっこんだり

普通にできるけど

プライベートの時は
どういう感じで接したらいいかわからない…。

それは別にともちんがどうってわけじゃなくて

こっちが勝手に遠慮してるだけだってことは
わかっている…。



いつからだろう…

この胸に残る痛み…

若すぎる2人には手に負えなくて…



”前はもっと…”



ともちんが言いかけたセリフが何度も頭の中をかけめぐった…。
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