Series B

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耳元で規則的な呼吸音が聞こえる…。

頬に当たるその風で目が覚めた。



…見覚えのない真っ白の天井。

2本の蛍光灯が光っていて夜なのか朝なのかわからない…。



身体を起こそうとすると



「痛っ…。」



ヒドイ頭痛…。

きっと二日酔いだ…。



そう言えば昨日の晩、
大学の友人と行きつけのバーで飲み明かして…。

…その後の記憶がない。



ってことは誰かの家?



ん?!

あぁ…大丈夫だ。
ちゃんと服は着ている…。

けど見覚えのない
ジーンズに白のTシャツを着ている…。



そうだあの寝息…。



横を見ると

女の子が眠っていた…。



驚いてベッドから転げ落ちる。



真っ白の床に真っ白の壁…。

一面真っ白で窓がない…。



立ち上がり自分の足元を見ると
右足に輪がかけられ鎖で繋がれていた…。



「なんだこれ?!」



思わず声を出すと
眠っていた女の子が目を覚ました。



眠そうに長いまつげに大きな目をパチパチと瞬きする。

小柄で背中まである栗色の髪の毛をしていて

真っ白のワンピースを着ている。



こんな子あの飲み会にいたっけ…?



見覚えのない女の子だった。

可愛らしくもあり…綺麗でもあり…。



少し見とれていた…。

が、すぐに我を取り戻す。



自分の置かれている状況が全くつかめない。



「起きてたんだね。」



身体を起こした女の子が喋った。

キーが高くて甘くて甘くて甘い声…。



「じゃあさっそく…」



そう言うと女の子はベッドからおり
混乱して突っ立っているオレの目の前にきて
そのままオレのズボンをおろす…。



「うぁっ!!何すんだっ!!」



慌てて下げられたズボンに手をかけ履き直すし
一歩後ろへ身をひいた。



キョトンとした目で不思議そうにこっちを見ている…。



「お、お前バカじゃねぇの?!」



オレの言葉に首をかしげる女の子。



「帰る!」



そう言って周りを見渡したが荷物がない。
携帯電話も腕時計も靴も…。

が、仕方ない。
この意味のわからない空間から今すぐ出て行きたい。

そう思ってベットと正反対の側にあるドアの方へ歩いた。



”ガチャン!”



後一歩でドアノブに手が届きそうなところで
足の鎖が音を鳴らしこれ以上前に進めなかった。



「キミは出られないんだよ?」



女の子がまた不思議そうな顔でこっちを見た。



自分はこの真っ白の無機質な四角い空間に閉じこめられたんだと
ようやくこの時、理解できた…。


   
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