Series B

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昨日の出来事で体のだるさを感じながら

誰かが言い争っているような声で目が覚めた…。



「いやぁだぁ!!」



「しょうがないんだよ!」



「なんで…?!なんで智は…!」



「その、自分の事、智って呼ぶのも!」



「だって智は智だもん!」



「ここでは016なんだよ!」



「いやだよ!なんで何も教えてくれないの?」



「外の事は知らなくて良いんだ!」



「なんで?!」



「昔教わったでしょ?!」



「ウソばっかり!!全部ウソだったもん!!」



智美が泣きながら篠田さんに何かを訴えている…。

それをなだめるように篠田さんは智の両腕を握りながら説得している…。



「もう良いから落ち着いて!」



「なんで…!!ズルイよ麻里ちゃんだけ!!」



智美は泣き叫んで言うことをきかない…。



すると部屋のドアが開いてボディーガードたちが入ってきた。



瞬間、智美の表情が変わって…



「ごめんなさい!もうしないから!!」



と、おびえたようにそのボディーガードから逃げた。

それを篠田さんが全身で抱え込むように抱きしめる。



「いやぁ!!ごめんなさいぃ!!!」



泣きながら篠田さんの腕の中で暴れる…。



ボディーガードの1人の手には透明な液体の入った注射器が握られていた。



「いやぁ!麻里ちゃん!助けてよぉ!!」



篠田さんは何も言わずに泣き叫ぶ智美を抱え込んでいる。



智美の左腕を引っ張ると
そこに注射が打たれた…。



「いやぁぁぁああぁあぁぁぁ!!」



絶叫が部屋の中に広がると

智美の体の力が抜けて篠田さんにもたれるように落ち着いた…。



「うっ…うわぁ…あぁ…。」



力なく泣いている…。



智美はそのまま篠田さんの身体から離され
どこか部屋の外へ連れ出されていった…。


   
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