Series B

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色々考えながらウトウトしていると
急に部屋の扉が開いた。

そこに立っていたのは篠田さんだった。



「ちょっといいかな?」



そう言われて起き上がると
目隠しをされて手錠をかけられた。

…部屋から連れ出されるんだ。



部屋を出て連れて行かれるがままに廊下を歩く。



廊下を歩きながら篠田さんは



「なんかおかしなことになりそうだね…。」



と、少し笑ったように言った。



そうか…監視カメラで見られていたんだ。



「前に説明したからわかってるとは思うけど、

 あの子たちには好きとか嫌いとかの感情はない。

 016もきっと、

 キミの感情に影響されただけ…。」



「べ…べつにオレは…。」



なに焦ってるんだ…。



「ははっ…。」



笑われたんだろう…。



扉が開く音がして
部屋の中に通されると椅子に座らされた。



目隠しを外される。



…ここはどこだろう?



オフィス…?

いや、社長室…?



ホントになにかのSF映画に出てくるような部屋。

机があってそこにはパソコンが置いてある。
少し殺風景で余計なものは何ひとつ置いていない感じ。
ちょっとした機械類が置いてあるがどれも精密機械のような高貴なものばかり…。



篠田さんはおもむろに
その机の椅子に座った…。



篠田さんの部屋なのか…?



篠田さんと机を挟んで向かい合わせ。



オレがその部屋の中をキョロキョロ見渡していると



「タナセコウ。

 キミに少し質問してもいい?」



オレは少し焦って目線を戻し黙ってうなづいた。



「キミのご両親の仕事は?」



「へ?」



想像していたような質問とは全くかけ離れた内容に驚いておかしな返事をしてしまった。



「お父さんとお母さんの仕事は?」



「あ、あぁ………両親はいません…。」



オレは物心ついたころから
小さな施設で育った。
両親については施設の園長先生もわからなかった。
だから何も知らないまま
施設の規則通り16才で施設を出た。
それからはバイトをかけ持ちながら夜間の高校に通って
大学に進学し、今に至る…。



「…そう。」



篠田さんはパソコンの画面を見ながら返事をする…。



「キミ、自分の体で

 おかしいと思ったことない?」



「い、いえ、

 特には…いたって健康です。」



さっきとはまた違った質問…。



「じゃあさ、

 ケガとか病気とか

 治るの早いなぁ〜とかない?」



「…あっ。」



そういえば子どもの頃
遊んでいてケガをした時…。



「なにか思い当る?」



「はい…。

 子供の時ケガをしたんですけど

 その傷が1日で治っていたことがあります…。」



「…やっぱり。」



「やっぱり?」



篠田さんは何やら深刻そうな顔をした…。


どういうことなんだろうか…。


   
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