Series B

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「残念なお知らせ…。」



そう言って目の前に現れたのは篠田さんだった。



「キミ、どこかで大きな手術とかしたことある?」



突然の質問に大きく首を横に振る。



すると篠田さんはさらに失望の表情を見せた。



「あの…なにが残念なんですか…?」



その言葉に
篠田さんは少しためらうように話し始めた。



「キミの精子調べた結果なんだけど…

 キミは確実にNO.000だった。

 だけどね…

 キミの精子にはおかしな特徴があった…。

 受精の瞬間に

 自ら死滅する…。

 まるで、

 子孫を残すのを拒んでいるみたいに…。」



その言葉の意味することは何なんだろう…。



「キミ…。帰っていいよ…。」



…そっか。
繁殖…。
これじゃできないってことだもんな…。



「って言いたいところだけど…。」



え?他にも何かあるのか…?



「キミがNO.000であるいじょう

 キミの帰る場所はココなんだ。」



その瞬間
現実に引き戻された感覚がした。



「オレの家はココなんかじゃない!」



「そんなことわかってる。

 それにここはキミがいるような場所じゃない。

 でもね、上の人たちも

 キミが普通じゃないことに気付きはじめてる…。」



「普通じゃない…?」



「キミの最強の遺伝子構造だったり、

 キミが100キロ以上ある男を

 上半身だけで投げ飛ばしたり、

 普通じゃないでしょ。」



たしかに…たしかにそうだ…。



「あたし達にはキミが必要だった…。」



そうだ…。
篠田さんが言っていた
オレが救うとか助けるとか…。
なんなんだろう?



「…実はね。

 あたしたちがやっている繁殖は間違ってるんだ。

 本当は

 ジェネティックの卵子には

 ジェネティックの精子しか適合しない…。

 だから、できるだけそれに近い遺伝子がある人を

 連れてきてる…。

 でもね、近いだけで、そうじゃない…。

 あの子たちは
 
 全然関係ない男にやられるだけやられて

 終わるの…。

 ひどい仕打ちだと思わない?」



そう言って篠田さんは少し自虐的に微笑んだ…。



「016とキミみたいに

 ジェネティック同士ならウマくいくと思ったのに…。」



…オレの精子は機能を果たさないってことか…。


   
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