青春の稲妻

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次の日
学校には行かなかった…。

梅ちゃんの家で昼過ぎに起きて
夕方
梅ちゃんが帰ってくるまで待ってた…。



昨日の夜のアタシは完全に子供だった…。

まるで自分のおもちゃを取られた子供のように
怒って泣きわめいて…。

それをあやすように梅ちゃんがアタシをなだめた…。



何度も耳元で



「大丈夫…大丈夫だから…。」



って言われて優しく抱きしめてくれた…。



こんなに人前で感情をさらけ出したのは初めてだった…。



顔を洗おうと洗面所へ行くと

水を張った洗面台の中に携帯が浮かんでいた…。



そうだった…。

そう言えば梅ちゃんが大学に行った後

朝早く友美から何度も電話がかかってきて…

………こうしたんだ。



バカだ…電源落とせばいいだけの話なのに。

また父親に新しいのかってもらって
智美に設定してもらわないと…。



…梅ちゃん早く帰ってきて。





梅ちゃんが帰ってくると
さっそく洗面所の携帯を見て笑ってた。

笑い事じゃないんだけど笑えるって笑ってた。



帰ってきた梅ちゃんに飛びつくように抱きついた…。



「ただいま。」



「…遅い。」



梅ちゃんの前でのキャラが完全に崩壊している自分に気付いたけど…

もう遅い…。



「コウ…?

 お家の人心配するから今日は一回お家かえろ?」



「イヤ…。誰も心配なんてしないもん…。」



「でも、昨日も帰ってないんだから…。

 ね?送っていくからさ?」



「…梅ちゃん嫌い。」



「あたしはコウが好きだよ?」



”チュッ”梅ちゃんはわざとリップ音を鳴らしキスをした。



梅ちゃんの前ではどんどん子供になっていく自分が怖い…。



   
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