青春の稲妻
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もう10年以上も前の話…。
「コウちゃん!智美しらない?!」
夕暮れ時に
智美のお姉ちゃんの愛美ちゃんが
自転車に乗って帰ってきたコウにそう質問した。
「しらな〜い。」
そう答える小学1年生の6歳のアタシ…。
確か、あの日は
佐江や才加と夕方までずっと遊んでて
智美は先に先に帰ったんだった。
「智美がママと喧嘩していなくなっちゃった!」
そう言った愛美ちゃんが泣いていた。
だから
「コウが探してくる!!」
そう言って走り出したのを覚えている…。
智美の行く場所くらいすぐに見当はついていた。
かくれんぼをするといつも決まって隠れるあの場所。
きっとそこにしかいないってわかってて
なのにアタシは必死に智美を探しに走っていた。
家の近くのこの公園…
それを照らす外灯だけが小さく灯されていて
小さい頃はすこしこわかったような気がする…。
走って駆け寄ったのは
像の形の大きな滑り台の下の
小さなトンネルの中。
「とも〜みちゃん!」
そういって覗き込むとやっぱり智美がいた。