青春の稲妻

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学校の屋上の階段を上っていた…。

後ろから名前を呼ばれて振り返ると
そこには友美が立っていた。

ちょっといい?

って言われて上っていた階段を下って
体育館の裏に行った。



ずっと逃げていた自分が
こうやって2人きりで話せるのは

きっと…智美のおまじないのおかげなんだと思う…。



そんなことを考えながら
深く息をついた。



すると友美の大きな瞳がアタシの視線をしっかりととらえて



「久しぶり…。」



って…。



「うん…久しぶり…。」



「言い訳ってわけじゃないんだけどさ…。

 話聞いて欲しくて…。」



「…うん。」



そのまま真っ直ぐ別れを切り出されるものだとばかり思っていた…。



「別に…友…才加とは何もないから…。」



なのにそんなセリフ…。

その言葉を全部信じられるほど
まだ心は大人じゃない…。



「才加はいい人だし…

 きっと付き合ったら優しくしてくれて

 尽くしてくれると思う…。」



友美は何がいいたいんだろう…。



「コウはさ…。

 あの時どう思った…?」



その質問…。

どう思ったかなんて…聞かなくてもわかって欲しい…。



「アタシは…

 最低だって思った…。

 才加は…最低な奴だって思った…。

 アタシと友の事知ってて

 あんなことしたなら

 最低だって思った…。

 それに…

 友を奪われた…って

 そう思った。」



…そう思ったんだ。



「やっぱり…。」



アタシの言葉を聞いて

友美は少しさみしそうな顔をしたのがわかった…。



「やっぱり…コウは…

 友の事なんて見てないんだね…。」



「そんなことないっ!!」



「そんなことあるよ…。

 だって

 コウは…

 才加の事しか思ってないじゃん…。

 才加がどうとか…そんなのばっかり…。

 あのときだって…

 友の目も見てくれなかった…。」



そう言われれば…
そうなのかもしれない…。



「でもそれは…」



「ううん…。

 いい…。何も聞きたくない…。」



アタシの言葉を遮る…。



「友は…コウが1番だって言った…。

 それは嘘じゃないよ…?

 今でも1番だって思ってる…

 でも…。」



…でも?



その先はきっと…
聞きたくない答えなんだと思う…。



「…もう友たち

 終わりにしよう…?」


  
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