Dear my teacher

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大人なんて大嫌いだった。

ましてや
教師なんて世界で一番嫌いだった。

なのになんでこんなに…

コウが好き…。





高2になった智は
学校が大嫌いだった。

学校に行くのはいつもお昼過ぎ。

でも授業はほとんど聞いてないしHRは出ないで帰る。

学校に行く意味ある?

なんて聞いてくる子もいるけど
一応、定義として高校生は高校に通う。

両親は智の事をもう諦めてる。

できのいい姉にだけ愛情を注いで

智は会話なんてしないで家にだってほとんど帰らない。



少し肌寒くなってきた夏

いつもの通り暗くなった公園の街灯の下のベンチに腰かけて
鏡を開いてメイクをする…。

先輩の小嶋さんに紹介してもらったバイトにいくため。



隣に座った小嶋先輩が話しかける。



「とも〜みのクラスに新しい担任来たんだってね?」



「ん〜。わかんない。HR出てないから。」



「さすが〜。」



何がさすがなんだろう…。

小嶋先輩もメイクをしながら会話をしてる。



「とも〜み!見てアレ〜!流れ星〜!」



いきなり肩をゆすられて
引いていたアイラインが歪んで少しイラッとしたけど…



「アレ、飛行機ですよ。」



「さすが〜。」



だから何がさすがなんですか…。







街の外れの飲み屋街の路地を抜けたところ。

智はそこで蝶になる。



小汚いおっさんたちが智を指名して安いシャンパンを開ける。



大嫌いだった大人に媚を売るのもなれた。



指名されて席を転々と回る。



ここのママのめーたんさんは智を可愛がってくれる。



真っ赤なワインドレスを着ていかにも20歳以上に見えるように歩く。



コンプレックスだったこの大人びた顔立ちも
ここではこんなに役に立つ…。



お金を持ってそうなおっさんと目を合わせて
引きつけるように見つめてから
不意に目を放す。



「智美さん!指名です!」



ほら…また一人落ちた…。



   
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