秘密の果実
□序章
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「ふわぁ〜」
一つ大きくあくびをする。
朝は苦手だ。
教室へ向かう階段を
ただ気だるそうに登る。
ダルい…。
それでもただひたすら登る。
キュッキュと
スニーカーが床とこすれる音が
規則的に響く。
するとウチが響かせる音を
かき消すように
上の階から足早な音が押し寄せた。
「ふわぁ〜。」
再びあくびをすると
何かが肩にぶつかる。
それと同時に体が宙に浮く感覚。
そして全身に鈍い痛みが走った。
"キャーーーーー!"
予想以上にキーの高い悲鳴が
ウチの耳をさす。
薄れる意識の中で
淡いピンク色が見えた気がした。