秘密の果実

□秘密の果実
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明けて次の日

ウチは重い足取りで向かった。



いや、
重くて痛い足取りで…。



しかし
生徒たちの反応は昨日のモノとは
打って変わって
穏やかだった。



何があったんだ…?

誰かと目があっても
相手は慌てて目をそらす…。

まっ
いいか。
これでまた落ち着く。



そう思って教室の扉を開けた。



思ってもみなかった光景…。



教室の黒板に書かれた文字…。

それを見て泣いている淡いピンクの女の子と

それを慰めるギャル。

鬼の形相で教室の生徒を睨みつけるクラス委員。



一瞬空気が止まり
一斉に全員の目線が
教室へはいってきたウチに向けられた。



黒板にデカデカと書かれた文字

”河西とタナセはデキてます!”

そして

殴り書きのように

”保健室でヤッちゃった!”

”智美LOVE BYコウ”

”コウは智のモノ”

”健全な学校を汚した!”

など、他にも口には出せないようなことが
書かれていた。



誰だよ…。

こんなバカなことしたガキは…。



はぁ〜。

大きくため息をつく。



そしてその場に荷物を下ろし
黒板消しで文字を消し始めた。

動かすと腕が痛い…。

肩だって上がらない…。



全然消えていかない文字に見かねて
秋元さんも一緒にその文字を消し始めた。



河西さんのすすり泣く声が
背中に響く。

それが
痛くて仕方なかった。
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