秘密の果実

□秘密の果実
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「振り替え休日とかないのかよ〜!」



昼間の食堂で友が愚痴るように叫んだ。

あぁ…そう思う。
炊事遠足の次に日から普通に学校が始まるなんて…。
ダルいという言葉以外に
何と表現すべきなんだ?



「それに意味わかんね〜!」



友の目線の先には意味のわかんないことだらけだった。

うん、
ウチだって意味わかんないけど。




炊事遠足の最後の夜
色々あったってことはわかる。



だって…



智は朝からウチにベッタリで

佐江とゆきりんは前より一層ラブラブしてて

有華は意中の相手だった
隣のクラスの佐藤夏希といい感じ。



そして一番驚いたのは

才加が隣のクラスの高橋みなみ(たかみな)と
なんだかいい雰囲気だ
ってこと!!



「たかみなって

 あっちゃんじゃなかったの?!」



友がたかみなをとがめると



「へ?何のことっスか?

 あっちゃんは別に何ともないでスよ?」



そして才加と目を合わせ
ふたりして赤くなる。



「中学生か!!」



友がなんだかつまらなそうにつっこんだ。



通路を挟んで隣側では
3年生の
大島優子さんと小嶋陽菜さんがラブラブしてる。



すると
入り口の向こう側から
パーカーをはおった女の子がやってきた。

えっと…



「なんか校内の風紀乱れてるっすよね〜?」



かわいい声に似合わない
悪だくみをしたような喋り方。



ウチたちがつるむ席の横で立ち止まり



「そう思いませんっすか?板野さん?」



友に話しかけた。



「うっせぇよ。ネズミ野郎。」



あからさまに不機嫌な態度を見せる友がいる。



「ひどいっすねぇ〜。

 渡辺麻友っすよ。まゆゆって呼んでください。」



あぁ、友が”要注意人物”って言ってた子だ。



「誰が呼ぶかよ。」



友がそう吐き捨てると
その、まゆゆ?も不機嫌そうにその場を去った。



不穏な空気が立ち込めた。
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