秘密の果実

□秘密の果実
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「ねぇキミぃ〜!」



フワフワとした声が聞こえた。



「…はい?」



振り返ると小嶋先輩が立っていた。



「ねぇ、今暇?」



「あ…はい。」



つまらなさそうにこっちを見る小嶋先輩は
やっぱり学校のマドンナで
みているだけで吸い込まれそうな瞳と
触れてみたくなるほどプルプルの唇…。



「ちょっとついてきて。」



そう言われて手を引かれて階段を上っていく…。



立ち入り禁止のフェンスを越えて
重い扉を押し開ける。



「ココ入れるんだ…知らなかった…。」



ふと漏れた最初の感想に
小嶋先輩が少し笑った。



「ねぇ、目つぶって…?」



「え?」



目をつぶる前に小嶋先輩の唇が自分の唇に重なった。



…え?



驚いて身体が動かない。



「なっ…何するんですか?!」



慌てるウチを見て小嶋先輩はまた少し笑った。



「高校生活最後の思い出。」



不意に触れた柔らかな唇が話す。



「あっ…もうすぐ卒業ですもんね。

 って、納得できませんよ!」



「大人気のキミの唇がどんな感じなのか知りたかっただけ。」



「…っ。」



「でも普通…。」



「普通に決まってるじゃないですか!」



「優子の方が良い…。」



「…そうですよ!

 大島先輩がいるのにウチにこんなことしていいんですか?!」



「いいの。」



「いいって…。」



「どうせ卒業したらバラバラだし。」



「進路…違うんですか…?」



「優子は頭いいからね。

 陽菜は付属の短大だけど優子は上京して大学行くって。」



「そうなんですか…。」



「じゃあ帰る…。」



「ちょっ!」



引きとめる前に小嶋先輩はその場から去っていった。



なんなんだろう…?
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