秘密の果実
□秘密の果実
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大学を卒業してすぐ
ウチは
父親の後を継いで
大手金融会社の取締役になった。
父親が社長だと知ったのは
父親が亡くなる一週間前。
父親の秘書がやってきてウチを取締りにした。
地元の大学の経営学を学ばせた両親の真意を
始めて知った瞬間だった。
取締りに任命されて数か月、
ようやく社長業も板についてきた。
忙しく生活をして
今までの事を忘れかけていたウチに
ちょうど3日前
1通の幸せそうなハガキが届いた。
”結婚します!”
ウチの会社の
将来有望なエリート若手社員
と
見覚えのあるあの名前…。
世間は狭いと感じた…。
あのころは
なんにも気にしないで
女同士だって愛し合えていた。
でも、
それが社会に反することだと理解した頃にはもう遅くて…。
悔しさに何度も涙していた…。
今だって愛している…。
あの子を忘れたことなんて1日もなかったよ…。