チユウと恋したら…

□チユウと恋したら…
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「トモのこと好き…?」



トモが急にそんなことを聞いた。

当たり前に好きだったのに伝わってなかったんだ…。



それで凄く不安な思いをさせてたんだね…。



トモを優しく抱きしめると
その華奢な体は今にも壊れてしまいそうなくらい弱弱しく呼吸をしていた。

トモの泣く姿に胸が張り裂けそうになる…。



好きだよ…。



その気持ちに心臓がドキドキと脈打った。



お互いの鼓動が聞こえるくらいに
離れてしまわないように

しっかりとトモを抱き寄せた。



優しく頭をなでると
トモの腕が背中に回ってギュッとオレのことを引き寄せるように
二人の距離を詰めた。



大好きだよ…トモ…。



声には出さない。
出したくなかった…。

声にしたら消えてしまいそうなくらい
その言葉は儚く繊細に思えたから…。



「今”好き”って言ってくれたね…。」



腕の中で上目づかいで潤んだ大きな瞳がこっちを見つめた。



声に出さなくたって

ホントの想いは伝わるんだ…。



「聞こえちゃったか…。」



そう言って優しく微笑みかけると

トモも照れたようにハニカんでいた。



心臓の鼓動が加速していく…。



キス…してもいいかな…?



トモの頭を抱き寄せて
おでこに優しく唇を寄せた。

唇が自分でもわかるくらいに震えている…。



はじめて唇で感じるトモの肌は
今にも溶けてしまいそうなほど繊細だった。



トモは少し驚いたように顔を上げると

恥ずかしそうに一瞬瞳をそらし

目の前でゆっくりと瞳を閉じた…。



その姿に吸い寄せられるように
トモの唇に唇を寄せる。

触れた瞬間

心臓が熱くなるような感覚に陥った。



初めて触れた唇は思っていたよりも柔らかく温かい…。



トモの唇が震えているのがわかる…。



そしてゆっくりと触れていた唇を離すと

トモはそのままギュッとオレの胸に抱きついて

声をあげて泣いた…。



オレはそれを全部抱きしめた。



呼吸もできないくらいに。





それが二人のファーストキスだった。
 

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