チユウと恋したら…

□チユウと恋したら…
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「コウくん!朝だよ〜!おきて〜!」



「ん〜ん…」



耳元で優しい声が聞こえる。
毎朝すごく心地いい気分。



「コウくん〜!」



身体をゆすられる…。

眠いよ…。



「コウくんが7時に起こしてって言ったんだよ〜!」



あぁ…そうだった…。
仕事だ…。



耳元の甘い声に
鼻をかすめる朝食の良い匂い
身体に触れる温もり



トモと2人の新婚生活



眠い目をこすって起き上がると優しい笑顔。



「おはよ!」



「ん〜…おはよ〜。」



「凄く寝むそう。コウくん何時に寝たの?」



「ん〜…5時前だと思う…。」



「2時間しか寝てないじゃん!大丈夫?体壊すよ〜。」



「大丈夫、大丈夫。

 今日納品の映像編集終わんなくってさ…。」



そんな会話をしながら洗面所に向かう。

鏡に写る自分の顔…
ぼさぼさの髪の毛に無精髭…

トモが好きなさわやか系からは程遠い…。

仕事柄、忙しくて髪切る暇ないし、髭だって…剃るのメンドクサイ…。

学生の頃はそんなに生えなかったのに!



「コウくんご飯できてるよ!」



そう言われて食卓へ…。



そろそろこのボロアパートから引っ越したいな…。

せっかくの新婚生活なんだから。



トモの目の前に座って食事。

やっぱりトモの手料理はウマい!



「おいしぃ?」



「おいしい!毎日こんなおいしいご飯食べられるって

 なんか、すげぇ嬉しい!」



そう言うと少し照れたように笑う。



新婚生活って言っても
なんだか恋人だったころと変わらなくって
居心地が良い。

5年半も逢えない日が続いて
それでもこうやってまた
オレと一緒にいることを選んでくれて

ホント、オレは幸せモノだと思う。



食事を終えて家を出る。



トモの好きなスーツの似合う人…とは
全くかけ離れたボロジーンズにTシャツ…

仕事柄仕方ない。



トモの理想とは全く違うオレ。



「今日早く帰れるんだっけ?」



「うん。納品して、会社寄って…

 昼過ぎには帰れるとおもう!」



大きな仕事が終わると
次の日はたいていこんなもんで、

その後はまた朝から早朝とか
撮影にいって編集して
って具合で忙しくなる。

土日とかの決まった休みはないし

だからこういう早く終われる日は家族サービスの日にしている。



「いってらっしゃい!」



と言われて



「いってきます!」



と答える。



唇が触れて離れる。



誰もが夢見る甘い新婚生活だ。


   
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