青春の稲妻

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起きあがり屋上の扉を開けて階段を下る。



その後ろを
チョット距離を開けて智美がついてくる。

小さい頃からそうだ。

智美はいつもアタシの後ろをちょこちょことついて回る。



玄関に向かう廊下の奥に人影。

腰くらいまである明るい茶髪を巻いている
ギャルで小柄な女の子。



「友〜!」



声をかけると振り返り

”チュ”っとリップ音をさせてキスをする。



「コウ今日学校来てたんだ。」



けだるそうな雰囲気。



「あ〜。居たけどサボり。」



「マジか〜」



そう言って笑う。



板野友美は彼女。

つまり、朝、アタシの上で腰を振っていた大島優子は
彼女じゃなくてタダの友達ってわけ。

友美はアタシににた空気感があって
お互いに干渉しないし束縛しないから
ゆる〜い感じで高校入学当初から
付き合っている。

斜に構えた態度も
気を遣わなくて良いから凄く楽。

それから
友美は智美の親友でもある。



友美の手を取って校舎を出ると
家とは逆方向に曲がって
友を家まで送った。

気付いたら智美はそのまま家に帰ったらしい。





家に帰りたくない…

なんて思いながら遠回りをして家に着いた。



「おかえりなさい。」



という女の人の声。

この人は篠田さん。

アタシの一番新しい母親。



といっても
年だってまだ20代で

こんな人を母親だなんて思えない。



きっとこの人も親父の秘書か何かだったんだろう。



篠田さんに軽く会釈をして
2階にある自分の部屋でまた一眠りした。



コンコンとドアをノックする音で目が覚める。



「コウちゃん、夕ご飯できました。」



篠田さんの声。



「はい。」



そういってドアを開ける。

階段を降りていく篠田さんの背中を確認してから
自分も階段を下りてリビングに向かった。



「あっ、お父さん帰ってたんだね。」



「おぉ!コウ!久しぶりだな!」



親父はこれでも一応取締役だから
なかなか帰ってこない人で
たまにこうやって一緒に食事を取る。

親父はアタシを溺愛している…。



「コウなにか欲しいモノはないか?」



いつも聞いてくる、



「あっ…携帯壊れたんだよね…。」



「そんなモノで良いのか?」



すると誰かにすぐに電話を始めた。



食事を終えるとインターホンが鳴って
親父の付き人の人が家に入ってきた。

手には紙袋。

それを手渡された。

中を開けると最新のIPhone

親父が電話していたのはこれだったんだ。

というか仕事が速いな、



紙袋を受け取ると
付き人さんはすぐに帰って行った。



受け取った袋をもって部屋に戻る。



説明書片手に
使い方を覚えようとしていたが

気付いたら眠ってしまっていた…



   
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