青春の稲妻

□2
2ページ/4ページ



部活が終わった後は
才加たちにバレないように
手早く着替えて部室をぬけ出して

立ち入り禁止のフェンスの向こうの屋上に行く。

HRとか授業なんてかったるくって出てられない。



ひとり屋上のコンクリの上に仰向けになって
目を閉じる。

すぐに眠気がやってきてそのまま意識を失うと
耳を触られた感触で目が覚めた。



「…明日香。」



「あっ…寝てていいよ。」



なんて言いながら勝手に耳を触り続ける…。



それがアタシと明日香の関係…。



明日香は学校の優等生で黒髪ロングのお嬢様。

そんな明日香もサボりか。



ペラペラとプロレス雑誌を読んでいる…。



ちょっと謎な女の子。



別にお互い話をするでもなく
何をするでもなく
明日香はアタシの耳を触りながら雑誌を読むだけ。

みんな人には言いたくないこともたくさんあるし
自分だってそうだから

それはそれで何の気も使わなくて済む。



そして
またアタシは眠る。



昼になるとお腹がすいて目が覚めた。

そう言えば才加に無理やり連れ出されたから
昼ごはん買ってない…。



いつの間にか明日香はいなくなってて



扉が開くとアイツが来た。



「コウサボりすぎ。」



智美…。



「お弁当、麻里子さんが渡してって。」



そういってお弁当を差し出された。



「麻里子…?あぁ篠田さんね。」



「そう。わざわざ朝、智に渡しに来たんだよ?

 あの人は今までの人とは違うね。」



なんて言ってくる。

智美はタナセ家の母親が何度も変わってることは知ってる。



「同じだよ。どうせすぐいなくなるから。」



そういってお弁当をかき込んだ。

どのおかずも
カレー風味…。



空になった弁当箱を智美に渡してまた横になる。



「すぐ寝たら牛になるよ?」



なんて、ガキみたいなことを言ってくる。



「なるわけねぇよ!バ〜カ。」



「ひどっ!バカはコウでしょ?

 毎日サボって!」



「サボってないよ。睡眠学習してんの。」



「ホント、バカないいわけだね〜。」



「うっさい。

 智美は授業受けててもバカじゃん。」



「…っ!」



勝った。

よし寝よう。

と思ったのにまだ隣で智美がうるさく反発してくる…。
落ち着かなくなったから
起き上がって屋上の扉を開けて
階段を下った。


  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ