青春の稲妻

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===== Megumi =====


珍しく朝っぱらから問題児が来たわ…。

と思ったら
悩める子羊ちゃんモードなのね…。

私はあなたの悩み…聞いてあげられないわよ…?



物深げなまなざしで天井を見つめたまま
クルクルと回っているあなたの肩をつかんで

”きもち悪くなるわよ?”

なんて言って。



悩んでいるまなざしを見ないように会話をして



”…寝る”



って言ったあなたを止めることもしない。



あなたは知ってるかしら?

あなたが寝に来た後は絶対

保健室に鍵をかけて

”外勤中”の札をかけてるって…。





ベッドのカーテンをゆっくり開けると

あなたが身体を起こしてこっちを見た…。

その瞳が少しうるんでいるように見える…。



「眠れないのかしら?」



なんて話しかけてみると。



「…うん。」



ってうなづいた…。



「何があったの?」



あなたの悩みなんて聞きたくないけど…。

私は一応…教師だから…。



「何もないですよ…。

 ただ、自分の気持がわからないって言うか…。」



「自分の気持…ね…。」



あなたのいるベッドに腰掛ける。



「先生はどう思う?

 付き合ってる人がいて

 その人のことを本気で好きなのに

 別の子が悩んでるとそっちに行っちゃって…

 それなのに、

 幼馴染に恋人ができて

 イライラしてる…。

 そんな人間って…。」



やっぱり、聞きたくなかった悩みじゃない…。



「わたしは、それはそれで良いと思うわよ?

 だって、それがあなたなんだから。

 だから気持ちに素直に生きなさい…。」



なんて、一番素直じゃない私が言ってる…。



「…先生。」



そう言って切なそうな笑顔で見つめられて…。





気が付いたら

あなたの頬に手を当てて

唇を重ねていた…。





最低な教師ね…。





それなのに

あなたは私の背中に腕をまわした…。



「…先生、ありがと。」





聞きたかった言葉はそれじゃないの…。





教師として恥ずべき人間ね…。


   
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