秘密の果実

□秘密の果実
2ページ/20ページ


謹慎が明けて学校へと向かった。

やらかした髪色はそのままだった。



校門の前で女の子が立っている。

あのパーカー…。ネズミ…。



そのまま無視して校門を通り過ぎようとするとネズミはこっちに回り込んで頭を下げた。



「すみませんっす…!

 あんなことになるとは思わなくて…。」



なんだ、素直に謝れるんだ。



「いいよ、別に気にしてないから。」



「やびゃ!!髪染めたんですか?!」



「あ、あぁ。」



「やびゃ!

 でもあっしは2次元にしか興味ないんで!」



そういって走って行ってしまった。

ホントなんなんだ?あの子は。



まぁいいや…。



いつもの階段を上る。



「ふぁ〜。」



いつもどおりにあくびが出る。



メガネもかけないで髪まで染めて
はたから見たら、
調子に乗ってるようにしか見えないんだろうな…。

でも
これで心のバランスを取ってるんだ…。



「おはよ!」



懐かしい甘い声。



「おはよ。」



「久しぶり〜。
 
 相変わらず寝むそうだね。」



「うん、眠い。」



「え?!

 てか髪染めたの?!」



「うん。暇だったから。」



「カッコいい…。」



「何?ごめん、眠くて聞こえなかった。」



「ううん。なんでもない!

 似合ってるよ!」



「そうかな?ありがと…。」



智は腕に絡まり体重をかけてくる。

ふたりで階段を上って教室へと向かった。



クラスのみんなの反応も智と同じ感じで
髪を染めたことに驚いているみたいだった。

でもそうだよね。

今までは目立たないように目立たないように生きてきたのに
いきなりこれじゃ…。



篠田先生は

謹慎してたのに派手になって帰ってくるって
バカじゃないか?

と言われた。

その通りだと思う。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ