チユウと恋したら…

□チユウと恋したら…
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「おかえり。」



コウくんの家につくと
コウくんはいつも通りに迎えてくれた。

トモの家じゃないのに
トモの家みたいに
”おかえり”って言ってくれる。

いつものことなのになんだか嬉しかった。



「ただいま。」



そう言うとニッコリと笑ってくれた。



コウくんはいつも与えてくれることばっかりだな…。

トモは求めてばっかりか…。



でも
一番欲しいものは与えてくれないんだよね…。



「ねぇ…トモのこと好き…?」



「どうした…?いきなり。

 なにかあった…?」



「ううん…なんでもない。」



鈍感なのか
敏感なのか…。

好き?って聞いたら
好きだって答えてほしいのに。



「疲れたから寝る。」



あっ…やっぱトモわがままだ…。



「コウくんも一緒に寝ようよ?」



「ん〜。」



「まだ寝ないの?」



「見たいテレビあるから。」



「トモはテレビに負けるのか〜。」



「そんなんじゃないって。」



「冗談、冗談。」



やっぱどこかコウくんとは上手くかみ合わないんだよね…。

トモたちって

釣り合ってないのかな…?



「ちょ…!泣くなよ!」



気付いたら泣いてた…。

トモ最低だ…。



「泣いてないもん…。」



「泣いてんじゃん…。

 なにかあったなら言えよ。

 そんなに頼りないかな…オレ。」



そんなんじゃない…そんなんじゃないよ…。

頼りなくなんかない…。



「なんでわかんないんだよ…。」



「わかんないよ。

 トモどうした?今日おかしいよ?」



「…なんで。」



「オレなんかした?」



「ううん…。

 なんで何もしてくれないの…?」



「え?!」



「トモのこと好き…?」



一瞬空気が止まったような気がした…。

また余計なこと言っちゃった…。



瞬間、コウくんの腕に引き寄せられた。



「ごめんな…。

 不安にさせちゃってたんだね…。」


コウくんの大きな身体がトモを包み込んだ。



コウくんの心臓の音が聞こえる。

ドキドキしてるね…。
トモもだよ…?



コウくんの大きな手がトモの頭をなでる…。

トモの頭を包みこむくらいに大きな手のひらが
髪の毛をすり抜けて
繊細な指先が少し震えてた。



それだけでなんだか嬉しかった。



声に出さなくても

”好き”って言ってくれたよね…?


 
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