Short

□期待
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〜名前Side〜



あ、ヒロト君がサッカーやってる。
日本代表になって、世界と戦って……
一回り大きくなったよなぁ。
かっこいいや。



「ヒロト!由宇!久しぶりにあの技をやるぞ!」


『ああ!』



玲名ちゃんが合図を出して屈む。
そして立ち上がると同時にボールも凄い勢いで上に飛んで。
ヒロト君と由宇君が同時に蹴った。



「スペースペンギン!」



そしてボールはゴールに突き刺さった。
あれがジェネシス最強の技のスペースペンギンか…



パン



3人がハイタッチをする。


いいなぁ、玲名ちゃんも由宇君も。
ヒロト君と一緒にサッカーやって、一緒にシュートして、ハイタッチできるんだから。


ジェミニストームにさえ入れなかった私はきっとヒロト君の眼中にないよね。


何か悔しくて、悲しくて。
3人が眩しく見えて。
体育座りで下を向いた。



「君もサッカーやらないかい?」



この声…
ヒロト…君?


私は少しだけ顔を上げた。
確かにヒロト君は私の目の前にいて、手を差しのべてくれていた。



「ありがとう。でも私…ジェミニストームにすら入れなかったから…ジェネシスのキャプテンとサッカーなんて、恐れ多いっていうか…何ていうか…。それに下手くそだし……」



誘ってくれたのは嬉しいけど。
ガッカリさせちゃうのは嫌だから。
私は玲名ちゃんみたいに強くもないし…



「大丈夫だよ。練習すれば上手くなれるから。」


「で、でも…」


「それに僕は君とサッカーしてみたいんだ。君がジェミニストームに入れなかったのは父さんの計画に異議を唱えたからだろ?」


「え…何で知って…」


「知ってるよ。君の事ずっと見てきたから…」



ヒロト君は目を細めて微笑んだ。


神様、私は期待してもいいんでしょうか?
いつかヒロト君の隣に私がいる事を。






期待

(サッカーなんて久しぶりだなぁ)






 

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