Short
□期待
1ページ/1ページ
〜名前Side〜
あ、ヒロト君がサッカーやってる。
日本代表になって、世界と戦って……
一回り大きくなったよなぁ。
かっこいいや。
「ヒロト!由宇!久しぶりにあの技をやるぞ!」
『ああ!』
玲名ちゃんが合図を出して屈む。
そして立ち上がると同時にボールも凄い勢いで上に飛んで。
ヒロト君と由宇君が同時に蹴った。
「スペースペンギン!」
そしてボールはゴールに突き刺さった。
あれがジェネシス最強の技のスペースペンギンか…
パン
3人がハイタッチをする。
いいなぁ、玲名ちゃんも由宇君も。
ヒロト君と一緒にサッカーやって、一緒にシュートして、ハイタッチできるんだから。
ジェミニストームにさえ入れなかった私はきっとヒロト君の眼中にないよね。
何か悔しくて、悲しくて。
3人が眩しく見えて。
体育座りで下を向いた。
「君もサッカーやらないかい?」
この声…
ヒロト…君?
私は少しだけ顔を上げた。
確かにヒロト君は私の目の前にいて、手を差しのべてくれていた。
「ありがとう。でも私…ジェミニストームにすら入れなかったから…ジェネシスのキャプテンとサッカーなんて、恐れ多いっていうか…何ていうか…。それに下手くそだし……」
誘ってくれたのは嬉しいけど。
ガッカリさせちゃうのは嫌だから。
私は玲名ちゃんみたいに強くもないし…
「大丈夫だよ。練習すれば上手くなれるから。」
「で、でも…」
「それに僕は君とサッカーしてみたいんだ。君がジェミニストームに入れなかったのは父さんの計画に異議を唱えたからだろ?」
「え…何で知って…」
「知ってるよ。君の事ずっと見てきたから…」
ヒロト君は目を細めて微笑んだ。
神様、私は期待してもいいんでしょうか?
いつかヒロト君の隣に私がいる事を。
期待
(サッカーなんて久しぶりだなぁ)