Short
□嫌いにならない涙
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※前回の短編と同じ夢主です
〜名前Side〜
守がいなくなった。
何も言わずに。
噂によればサッカー部の連中はエイリア学園を倒すべく日本中を旅してるだとか。
幼なじみのくせに守のケー番もメアドも知らない俺は守と連絡が取れない。
いや、全く取れないって訳でもない。
もう1人の幼なじみ風丸のケー番は知ってる。
でも1度も電話した事ないし、俺がこうなってからは全然話してない。
「守………」
名前を呟いても誰にも届かず夕空を前に儚く消える。
それが日常になりつつあるのが、凄くムカつく。
そして何より守がいないとこんなに弱気になる自分に苛立つ。
でも守がいないからその苛立ちも溜め息に変わる。
「おっ!雷門の苗字名前だ!」
あ、私この辺じゃ有名な喧嘩番長なんだ。
だから挑発してわざわざ喧嘩を売ってくる奴も少なくない。
コイツらもその1つ。
しょっちゅう絡んできやがる。
「名前さんよぉ〜、最近調子悪いんだってなぁ。」
「あ゛?」
何言ってやがんだ?
このブタ野郎。
「最近は買わない喧嘩も多いらしいな。」
「喧嘩しても動きにキレがないらしいじゃん。」
「うっせぇ、凸凹(デコボコ)。調子悪くてもテメェらごとき5分で倒してやるぜ。」
「んだとぉ!?」
たっくこのブタ、ホント短気だよな。
よくこんなにいちいちキレて疲れないもんだ。
「しゃーねー、相手してやるよ。」
その言葉と共にガリの方が俺にストレートのパンチをお見舞いしてくれた。
最もそんなへなちょこパンチ、左手で受け止めたが。
「その程度かぁ?ああ゛?」
いや、それこっちのセリフなんだけど。
マジでコイツら頭逝ってるだろ。
自分の置かれてる状況がまるで解っちゃいねぇ。
正直物凄く萎える。
「はぁ…。仕方ねぇなぁ。」
俺はガリの方の鳩尾にパンチ一発くれてやり、ブタが襲い掛かってくるのを避けて、後ろから回し蹴りを首の下辺りに喰らわせてやった。
ほら、これで二人とも倒れて俺に敗れた。
これが現実ってものさ。