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□告白の約束
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〜名前Side〜



白い息がふっと消える。
マフラーも手袋も着けてはいるが、何の意味を成していない。


たまにはいつもよりおしゃれな格好して家を出てみたけど、私のおしゃれは街ではどうしても浮く。
奇抜なファッションさえ溶け込んでいるこの街では私の落ち着きすぎた、地味な服装は珍しいほかないみたい。
さっき会ってきた夏未さんだって可愛かった…。


何か白いほわほわしたものが前を通過した気がした。



「ゆ…き…?」



雪が降ってきた。
東京で雪が降るのは年に数えられる程度。
クリスマスである今日雪が降るのは幸せを掴んだ者への祝福か、孤独に過ごす者への嘲笑か…。


そういえば私、傘を持ってきてなかったわ。
どうしよう…。
結構本格的に降ってるし…。



「よお、気位の高いお嬢様。」



一瞬ドキッと胸が鳴る。
振り返るとそこには傘を差した不動明王君が。



「何?不動君。」


「あんた、駅まで向かってんの?」


「ええ。」


「だったら入れてやってもいいぜ?」


「……お願いするわ。」



私は不動君の傘に入れてもらった。



「てかあんた虚しくないのかよ、ホワイトクリスマスの街を1人で歩いて。」



嫌味を言う為に傘に入れてくれたのかしら、この人…。



「もちろん、虚しいわ。私だって普通の女子。男性の1人や2人と付き合ってみたいわ。」


「じゃあ俺が付き合ってやろうか?」


「…不動君、冗談はよしたら?そんなそこらにいる誰でもいいから彼氏欲しいなんて言ってるチャラチャラした女子じゃないのよ?私が彼女達の言うようなノリで付き合うと思って?」



すると不動君はニヤリと笑った。



「あんた、そんなんじゃ一生彼氏できないぜ?」


「知ってるわ。でもノリで付き合うなんて私のプライドが許さないの。」


「ホント気位高いな。でもだったら何で俺みたいな落ち零れと喋って挙句の果てに相合傘してんだよ?あんた確か不良に絡まれてもフルシカトしてたよなぁ?」


「それは……」



痛いところを突かれ、言葉に詰まる。
言えない。
実は不動君が好きだなんて絶対に。


私は目を逸らした。



「着いたぜ、お嬢様。」


「え…あ…うん…。」



目の前に駅が見える。
もう少しくらい一緒にいたいのに…。



「何だよ、あんたらしくねぇ。」



不動君は余り楽しそうじゃなかった。


だめだ。
不動君がこんな感じだと私まで調子が狂ってしまう…。



「そうだ、お嬢様。」


「…何?」


「それは、の続き今度聞かせろよ?」



不動君は上から目線でそう言った。



「……ええ、もちろん。約束するわ。」





告白の約束
(プライドなんて捨ててみせるわ)





 

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