戦国BASARA
□第6開
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考えはまとまらない。
最近ずっとそうだ。
考えなくていいことを延々と考えてしまっている。
ぐるぐる、そんな回るような思考で毎日を過ごす。
第6開 ぐるぐる回るのはコーヒーカップで充分。
起きて、佐助の作ったご飯を食べて、見送られて、帰ってきて、また佐助のご飯食べて、寝る。そんな日々。
佐助は本当にいいおさんどさんをしてくれている。ジャージをあげたからスーパーもコンビニも行ける。お金の単位も少し教えた。
ゴミ出しとかもやってくれるもんだから、隣のおばちゃんに今朝方、微笑まれた。
「若いって良いわねー」って。生あったかい目だったなぁ。
おばちゃんに認識されても、家族にも友達にも言っていない。
だって、二次元の扉越えちゃった存在がいたら、喜んでその扉を潜りたがるような友達が…いる。
でも、それだけじゃない。
きっと、私の中のどこかで、
“向こうの世界へ帰る”
っていうお決まりがあるから、だろうか。
“いつか、いなくなってしまうのかな”
つい先日、佐助の背中を見ながらそう思った。どうしてそう思ったんだろう。
そうずっと考えながら、学校を終えた私は家のドアを開いた。
「ただいまー。
ん?」
バタンと後ろでドアが閉まる音が響く。
いつもなら「おかえりー。おやつ食べるー?」と佐助がひょっこりと顔を覗かせる、のに。
それが、ここ数日の、日常。
「佐助?いないの?さーすけー?」
カバンを置いて、台所へ行く。ベランダへ行く。佐助の寝床にしたソファベットをめくる。
いない。
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