戦国BASARA

□第7開
1ページ/2ページ






伝えるつもりなんて無かった。




自分ですらついさっき自覚したばかりのこの感情が、

いつの間にこんなにも大きくなっているなんて知らなかった。



きっと伝えないで終わるんだろうと思っていたのに、佐助を見た時の安堵の涙と一緒に溢れ出てしまった。







第7開 悲しい事は半分、嬉しい事は、2人分








「、佐助。ねぇ、佐助。離してよ」


「ダーメ。今離したら、名無しさんちゃん逃げるでしょ。だから、ダーメ。」



思わず告白したことに気づいた後、「帰る!!」と叫んで家を飛び出そうとしたのだけれど、

「家はココだってば!?」と佐助に後ろから羽交い締めにされて、抱きかかえられたまま、床に座り込んでいる。



好きだと告げて、自覚したら、恥ずかしさで一杯だ。


うるさく鳴り続けている自分の心臓の音が聞こえやしないか、

顔だけでなく、首まで赤くなってしまっているのではないか、

と考えているけれど、1番気になるのは、




相手の気持ち。


自分よりも大人で、格好よくて、住む世界、だって違う存在。振られる、とわかっている。


わかっているのに、告げてしまった。

そしてその、答えが恐くて、どうしても手が、体が震えてしまう。




「名無しさんちゃん。…残念だけど、名無しさんちゃんの気持ちには、応えられない」

「…っ、うん」



ぎゅっと手を握りしめて、頷き返す。


佐助は私の肩に顔を埋めていて、表情は読み取れないけれど、言葉を発する前の呼吸で、今から何かを言おうとしていることだけはわかる。

「だってね」と続けようとする声に耳を傾ける。



「俺様はどうしたって、名無しさんちゃん達の持ってる“ゲーム”の中の存在だ。

俺様達に思考や意志があろうと、それは変わらない。
あちら側の存在である限り、俺様は、名無しさんちゃんの想いに応えてはあげられないんだ。」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ