戦国BASARA
□第7開
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伝えるつもりなんて無かった。
自分ですらついさっき自覚したばかりのこの感情が、
いつの間にこんなにも大きくなっているなんて知らなかった。
きっと伝えないで終わるんだろうと思っていたのに、佐助を見た時の安堵の涙と一緒に溢れ出てしまった。
第7開 悲しい事は半分、嬉しい事は、2人分
「、佐助。ねぇ、佐助。離してよ」
「ダーメ。今離したら、名無しさんちゃん逃げるでしょ。だから、ダーメ。」
思わず告白したことに気づいた後、「帰る!!」と叫んで家を飛び出そうとしたのだけれど、
「家はココだってば!?」と佐助に後ろから羽交い締めにされて、抱きかかえられたまま、床に座り込んでいる。
好きだと告げて、自覚したら、恥ずかしさで一杯だ。
うるさく鳴り続けている自分の心臓の音が聞こえやしないか、
顔だけでなく、首まで赤くなってしまっているのではないか、
と考えているけれど、1番気になるのは、
相手の気持ち。
自分よりも大人で、格好よくて、住む世界、だって違う存在。振られる、とわかっている。
わかっているのに、告げてしまった。
そしてその、答えが恐くて、どうしても手が、体が震えてしまう。
「名無しさんちゃん。…残念だけど、名無しさんちゃんの気持ちには、応えられない」
「…っ、うん」
ぎゅっと手を握りしめて、頷き返す。
佐助は私の肩に顔を埋めていて、表情は読み取れないけれど、言葉を発する前の呼吸で、今から何かを言おうとしていることだけはわかる。
「だってね」と続けようとする声に耳を傾ける。
「俺様はどうしたって、名無しさんちゃん達の持ってる“ゲーム”の中の存在だ。
俺様達に思考や意志があろうと、それは変わらない。
あちら側の存在である限り、俺様は、名無しさんちゃんの想いに応えてはあげられないんだ。」
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