薄桜鬼

□表情よりも、空気を読もう☆
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ああ、またか。



教室の前のドアからひょっこりと顔を出す女の子。


キョロキョロと周囲を見回してお目当ての人を探す姿は、このクラスでは見慣れたもので、

ぼんやりと窓側の自分の席から眺めていれば、パァッと顔を綻ばせるのがわかった。



「あ、斎藤先輩!」



そう言って、先輩のクラスだというのに、パタパタとその人物、斎藤一に走り寄っていく。


高く結われたポニーテールの子、雪村さん、(だっけか)はニコニコとしている。



そんな彼女は「何かあったのか」と近づく斎藤に、「コレを土方先生から預かってきました!」


頬を少し赤くしながら、数枚のプリントを差し出した。




あ、笑った。




本当にわずかだけれど、斎藤の周りの空気が優しくなったような気がする。


それに気づいた雪村さんはほっぺだけじゃなく、耳まで若干赤くしている。

ああいう子って、可愛くて、ふわふわして、癒し系で、
男子の一番好きなタイプだよなぁ…



だってホラ、このクラスの男子が雪村さん見て顔面崩壊してるからね。



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