捧げ物
□溶けるまで
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「雪村」
「はい、斎藤さん」
「この…雪兎とやらに名はあるのか?」
「え?ありませんけど、付けますか?」
「…」
私に名前が付けられるようです皆さん(え、誰?)
この溶けゆく私に!キレイな雪兎の私に!
でもすごい悩んでる…のか?
睨まれてます、ハイ
熱じゃなくて、冷や汗かきそうだよ、もう!
「きーちゃん…」
「へ?」
「きーちゃんはどうだろうか。一刻一刻と時を刻むごとに溶けゆく姿。」
「…」
「刻む雪、できーちゃん」
「はぁ…」
きーちゃん、とまた私を見る二人。
え、何か視線が優しくなってるよこのお兄さん。
んで、どうだ雪村、と
ドヤ顔なのはどうしてかしら。
もうすっかり冷めてしまった湯のみの間で思うのは一つ、
ま、溶けるまでの間だけでも
ずっと愛でてくれたら、嬉しいかな。
(…ねぇ平助)
(何だよ総司)
(一君ってさ、名付け親にしたいのかしたくないのかわかんないね)
(…俺は少し嫌だなぁ)
(うん、多分僕も)
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