瞬間チョコレート!

□犬、雉ときたら猿
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『あら、やり過ぎちゃった?』



白目を向いている馬面の頬っぺた(っても骨ばってて頬っぺたが何処かあまり良くわからない)を足先で突つくも目覚める気配がない。


周りに視線を移して見れば、みんなは哀れみの目で僕を見てくる。
え、なに?何でそんな目で僕を見るの?


もう一度視線を馬面に向ける。
起きる気配がしない。
ただの屍のようだ。

もう一度視線を周りに向ける。
みんな哀れみの目で僕を見てくる。
何やら嫌な予感がする。
逃げた方が良さそうだ。





と言う事で。



『さ、さようならァァァァア!!』



みんなの哀れみの目から逃げるように走り出した。




***




『はぁはぁ…しんど、』



あの場所から大分離れた場所まで走ってこれば【歌舞伎町】と書かれた看板がぶら下がっている大通りに着いた。

先程の場所よりもいくらかアマントが多いような気がするような、しないような。

乱れた息を整えるべく、近くにあった薄汚いお店へと入った。



「注文聞きに来たアル、早く言えヨ。」



2人用のテーブル席に案内され、出されたお水を一口飲む。


カラカラだった喉が潤った所に可愛いウエイトレスさんが来た、が、凄い上から目線だ。

それに、似非チャイナ語。


何なんだ、と思いながらもメニューを開いて適当に注文する。



『じゃあ、ハンバーグ定食で。』


「畏まったアル。銀ちゃーん!酢こんぶ丼入いったネ!」


「神楽ちゃん、誰もそんなマズそうな料理頼んで無いでしょ!銀さーん、ハンバーグ定食ですよー!」


「おー、」



何だか騒がしい店内に苦笑いを浮かべながら水を呑む。
大分、息が整った。



「ど、ど、どうぞ!」


『何これ…』


「コックがそれしか作れないものでして…【宇治銀時丼】です…」



眼鏡の少年が恐る恐る持ってきた食べ物に僕は目を疑った。

ご飯に餡子をかけただけの凄くマズそうな丼ぶり。
なんか、どんよりとしたオーラを纏ってるんですけど…



『んなもん、食えるかぁぁぁぁあ!』


「ぐぼらぁぁぁぁあ!」


「新八ィィイ!」



不気味な丼ぶりを少年の顔面へ投げつければ、僕は会計もせずに店を後にした。


てか、あの眼鏡に似非チャイナ娘…どっかで見たことあるような…





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