涙恋ーRUIRENー
□蝉の鳴き声 仲間の笑顔
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あれから夜が明け、僕らはみんなで川にきていた。
この頃暑くなってきたため水浴びに来たのだ。
『いいなぁ…僕も水浴びしたい。』
「女の子だから仕方ないわよ。」
『むぅ…』
バシャバシャとキラキラ輝く水をかけあっている男共を見ていたらイライラしてきて僕はムスッとする。
隣では爽やかな笑顔のミツバ姉がいて、視線はトシ兄に向いていた。
『ねぇミツバ姉ってさ…』
「くらえ桜!」
ビシャァ
ミツバ姉にトシ兄が好きなの?と聞こうとした時、川から水を掬い上げてかけてきた総悟。
その水はミツバ姉を見上げていた僕の全身にかかってびしょ濡れになってしまった。
黙って俯いていると川の方から総悟を怒る声や笑い声が聞こえてきてスッと立ち上がる。
「桜ちゃん?」
心配そうに僕の顔を見上げてくるミツバ姉を気にせずにフラフラと総悟に近づく。
そして勢いよく走り出すと地面を思い切り蹴り、総悟に飛び蹴りを食らわした。
それは見事総悟の右頬にヒットして、僕と共に総悟は水中に消えた。
ー 蝉の鳴き声 仲間の笑顔 ー
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