涙恋ーRUIRENー
□傘被りの少女
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真選組屯所前に彼女は居た。
『あ、すまないそこの地味な人。』
「ちょ!?地味な人って何!?いや、確かに地味だけど…」
『すまない。じゃあジミー君。あなたはもしや山崎退君ではありませぬか?』
「へ?そうだけど…あなたは?」
『アタシ?アタシは…
田舎侍でございます。』
「えっ…」
そう言って被って居た傘を少女は外す。
傘を外せば、高い位置で結ばれた綺麗な赤色の髪が風に揺れ、白いきめ細かい肌と大きくキリッとした瞳が露わになった。
『田舎侍基、如月桜だよ、ザッキー♪』
「さ、桜ちゃんん!?た、大変だ局長!副長!沖田隊長ォォオ!!」
山崎の叫び声は屯所全体に響き渡った。
アタシは置いて行かれて納得するほどの賢い子じゃないんだ。
だから、みんな…
迎えに来たよ。
ー武州時代篇endー