涙恋ーRUIRENー
□お出かけ日和
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『あり?トシ兄?』
キョロキョロと周りを見回すがトシ兄の姿は無い。
さっきまで一緒に居たよね?
うん、居た。
タバコすぱすぱ吸ってて臭かったもん。
で?
いつ消えたんだあの人は?
江戸なんて全然しらないから屯所にも戻れない。
あぁー!
完璧迷子だぁぁぁぁあ!
トシ兄が。
『あのマヨネーズめ…かってに迷子になるなってあれ程言ったのに!』
「桜じゃねェか。何してんでィ。」
『げっ…総悟。』
とりあえず、トシ兄を探すためうろちょろ歩いているとうしろから声をかけられ振り返れば奴が居た。
そう、奴だよ、奴。
「土方さんが探してやしたぜ。」
『え、トシ兄何処にいた?気がついたらトシ兄迷子になってたんだよね〜あの年で迷子だよ?考えられない!』
「そりゃアンタが迷子の間違いでさァ。」
『なっ!?あ、アタシは迷子なんかにならないわぁあ!』
「桜は昔から大の方向音痴だったじゃねェかィ。」
『チゲぇし、アタシ迷子なんてなった事ないし。』
「目、見て離せよ。」
ニヤニヤと笑いながら言って来る総悟に殺意が湧いたが何とか抑え、暁丸から手を離す。
こんなやつを相手にしてる場合じゃない。
早くトシ兄を探さないと。
『じゃあね、総悟。しっかり仕事しなよ。』
ヒラヒラとうしろ手に手を振り、トシ兄を探すべくその場を後にした。
***
『い、いない…』
あれから一時間近く探し回ったがトシ兄らしき人物は一人も居なく、頭を抱え込んだ。
日も、もう落ち始め夕焼けが綺麗だ。
「もし、お嬢ちゃん。廃刀令のこのご時世に帯刀なんかして、まさか攘夷志士かい?」
『誰、あんた。』
声をかけられ振り帰れば汚らしいちょんまげ頭のおじさんがいた。
ヨレヨレの着流しに腰には結構高そうな刀をさしている。
「おじさんはねぇ〜、可愛い女の子を色々な人に売ってるんだ、よっ!」
『うわっ!』
突然おじさんは腰にさしてある刀を抜くと、アタシに斬りかかって来た。
咄嗟に避けたアタシはすぐに刀を抜き、素早くおじさんの腹に峰打ちを食らわせた。
「ぐぁっ…」
『あ、ゴメン!ちょい、力入れすぎたから肋骨何本かイったかも!』
苦しそうに声を上げて倒れたおじさんを見れば、白目を向いて倒れてしまいアタシは刀を直すと急いで駆け寄った。
大丈夫、息はしてる。
うわっこのおじさん息クサッ!
しかし、このおじさんどうしようか…
一応、アタシも今日から真選組だし連れて帰るか。
でもこんなおじさん背負いたくないしな…
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