涙恋ーRUIRENー

□初任務
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「おい、桜いるか?」


『何〜?』


「ちょっと用事頼まれてくれねェか?」


『用事?』



部屋の縁側で暁丸の手入れをしていると、トシ兄が入って来た。


くわえ煙草をしているトシ兄はそれに火をつけるとスパーっと煙をはく。



「ここに近藤さんを迎えに行ってほしいんだ。」


『すなっくスマイル?…うわぁ勲もキャバクラ何て行くんだね。』



引いた…と顔を引きつらせながら立ち上がる。

腰に暁丸を提げると、脱いでいた上着を羽織りスカーフもちゃんと巻き直す。


洋服はピッチリしていて苦手だけど、最近やっと慣れて来た。



「頼んだぞ。俺ァ仕事があるからな。」


『アイアイサー!我が命にかえてもこの任務遂行いたしやす!』


「いや、命にかえなくていいから。」



頼んだ、と言ったトシ兄が出て行った後アタシも屯所を後にした。







***






『ここ、だよね?』


上を見上げれば【すなっくすまいる】の文字が。

もう一度、入り口の扉を見る。


中からはガラスの割れるような音や悲鳴が聞こえてきて入るのをためらった。

だが、勲のため!
アタシは一歩踏み出し店へと入った。



「いらっしゃ…あぁ、真選組の方ですか。こちらです。」


『あ、はい。』



中に入ると、ボーイの人が居て奥へと連れて行かれた。

奥へ行くほど騒がしさが増して行き、ボーイは一つの席の前で足を止めると頭を下げて去っていった。



おいて行かれたアタシはただ額をピクつかせるのみ。




違う。
違うよコレは。

こんな可哀想なゴリラ見たいなボロボロの男の人は絶対勲じゃいよ。

あり得ないよ、うん。



「あら真選組の方?」



声をかけられそちらを見れば、綺麗な顔をしたアタシと同い年くらいの女の子が居た。

アタシは急いで頭を下げると自己紹介をした。



『最近入った如月桜です!あの、勲を迎えに来たんだけど…まさかコレ?』


「私は志村妙よ。真選組にこんな可愛い子が居たなんて知らなかったわ。勲…?ストーカーゴリラならそれだけど?」



志村妙と名乗った少女の発言にアタシはやっぱり、とため息をついた。

いや、勲が一途なのは知ってたよ。
いつかストーカーになるんじゃない?って思ったけど…
まさか本当になるとは。


桜、びっくりしちゃった!
うげ、自分で言って気持ち悪くなった。
ゴメン、今の無し。



『ゴメンねお妙さん。これ、処理しとくから。』


「嫌だわ。同い年ぐらいだから敬称なんていらないわよ。」


『じゃあ妙ちゃん?』


「ふふ…どうしたの、桜ちゃん?」



妙ちゃんの微笑みにアタシの心臓は何かに撃ち抜かれました。






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