涙恋ーRUIRENー

□万事屋さん
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その侍を見た瞬間、目を見開いた。



相手もアタシに気が付いたのか、アタシを見て持って居た荷物を落とした。

そして、冷や汗をたらりと流してお互い指を指した。



『「お前っ…










誰?」』


「何でだァァァア!!今、感動の再会シーンみたいだったじゃないかァァァア!」



アタシ達の言葉にキレた新八君はアタシ達の頭を持って居た封筒で殴りつけてきた。


こら、新八君!
お金を凶器にするんじゃありません!



「いってェな…何、お客さん?」


「あ、はい。でも桜さん、流石に無理ですよ。」


『え〜、万事屋のクセに。』


「自分でやってくださいよ。」



返してきた封筒を渋々受け取り、懐に仕舞う。


その動作をじーっと見てきた銀髪侍はアタシが差して居る刀を見ると目を見開いた。



「アンタ、その刀っ…」


『刀?これが何?』


「何でアンタが持ってんだ。

それは骸が持ってたやつじゃ…」



それを聞いた瞬間、アタシはすかさず刀を抜くと先を銀髪侍の首にピタリとあてた。


ツーッと真っ赤な血が流れる。



「桜さん!」


『何でアンタが知ってんだ。


答えろ。
骸は何処に居る?』



万事屋にはアタシの殺気が充満しており、新八君に至っては冷や汗を流し顔色は蒼白い。


だが、銀髪の侍は真っ直ぐとアタシを見たまま口を開いた。



「昔、死にかけの所助けられたんだよ。骸と一人のガキに。」



その言葉を聞いた瞬間、アタシの頭に昔、銀髪頭の男を拾った事を思い出した。



『ま、まさか銀時?』


「は?」



刀を降ろすと、銀時、と名を呼ぶ。

銀髪の侍は呆けたような顔をしたが、アタシの顔をマジマジと見ると不安気に口を開いた。



「まさかお前、桜か?そういや新八も桜って言ってたような…うおっ!?」


『銀時ィ!』



アタシは銀時だとわかった瞬間、刀を投げ捨て銀時に抱きついた。

うしろから新八君の悲鳴が聞こえたけど気のせいだ、うん。



「誰だか分からなかったわ。デカくなったな。」


『へへっ、良い女になったっしょ?』



銀時から離れるとニシシッと笑う。


久しぶりに見た銀時は、少しあの頃より背が伸びていてかっこ悪くなっていた。














あの後、アタシを探しに来た総悟と一緒にリンゴジュースを買ってから帰りましたとさ、めでたしめでたし。


あれ?
昔話になってない?






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