涙恋ーRUIRENー

□聞きたく無い
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熱いシャワーを浴びて居れば大分冷静さを取り戻して来た。

それと共に目頭が熱くなり始め涙が溢れ出てくる。




骸が見つかった。

正直それは嬉しかった。
居場所がわかった今、今すぐにでも会いに行きたかった。


だけど反面。

すごく疑問に思った。
何で攘夷志士なのか。
しかも、よりによって過激派の高杉と絡んで居て鬼兵隊の幹部と来た。

骸の考えている事がわからない。

同時に

勲やトシ兄、総悟の考えもわからない。



なんでアタシを疑って来たのか。


今まで信じて来たアタシの気持ちは何だったのか。

今まで笑いあって来た思い出は何だったのか。



わからない、アタシには難しすぎて…



『わからいよ…骸ッ…』














風呂場を出れば銀時の着流しと神楽のであろう下着が出されて居た。

あの野郎、アタシの乳は神楽並ってか。
妙ちゃん以上はあると思うアタシにこれは無いだろ。



と思いながらも着てみれば案外ピッタリで肩を落とした。



腰にはきっちりと暁丸を提げ、脱衣所を後にした。









『ありがとう銀時、助かったよ。』


「お、おう。」


「お茶入りましたよ。」


「桜、酢昆布いるアルか?」


『ううん、いらない。ありがとう。』



三人の優しさに胸が暖まるのを感じ、銀時の向かい側に座った。


隣には神楽がいて、その瞳は不安気に揺れている。

きっとアタシを心配してくれてるのだろう。

そんな神楽の頭を撫でると嬉しそうに微笑んだ。



「んで、何か訳ありだろ?何、また総一郎君と喧嘩でもしたの?」


『違うよ。』


「ゴリラアルか?ゴリラアルな?」


『残念、ゴリラは動物園に帰ったから違うよ。』


「まさか土方さんですか?」


『それも違うよ。』



じゃあ何だよ、と言う目で見てくる三人にアタシが口を開こうとした時万事屋のインターホンが鳴り響いた。


乱暴に扉を叩く音が聞こえて、すぐに彼らが来たと分かったアタシは立ち上がり押入れへと身を隠す。



「桜?」


『ごめん、今彼らに会いたく無いんだ。うまいこと追い払って?』


「やっぱり奴らアルネ!?許さないアル!」


「あ、こら神楽ちゃん!」



ドタドタと玄関の方へ行ってしまった神楽を追いかけた新八君。


そんな二人を横目に見ながら、銀時はまだ濡れて居るアタシの頭を乱暴に撫でてくれた。



「事情は後で聞くから、今は任せな。桜の依頼、この万事屋銀ちゃん、坂田銀時がしかと受けました!」



そう言って銀時が襖を閉めたと同時に騒がしい足音が広間へと飛び込んで来た。



心臓が今まで無いほど鳴って居る。

バクバクと、今にもはち切れそうだ。



「万事屋ぁ、桜何処にやった?」


「居るでしょ、分かってやすぜ。」


「出て来てくれないか桜?」



トシ兄、総悟、勲の順番に声が聞こえて来た。

そんな声を聞きたく無くて、両手で耳をふさいだ。



「テメェら桜を泣かせ時ながら良くノコノコ来れたアルな!」


「神楽ちゃん!」


「桜、今までに無いほど絶望した、傷付いた顔をしてたネ!そんな顔をさせたお前らに桜と会う資格なんざあると思うなヨ!!」



静まり返った万事屋に神楽の悲痛な叫びが響き渡った。

気まずい雰囲気が流れ再び静まり返った万事屋に銀時の落ち着いた声が響く。



「そう言うこった。さっさと帰った帰った。」


「ふざけんなよ、桜を出しやがれ。」



トシ兄の地を這うような低い声が響いたと思った瞬間、アタシが隠れている押入れに凄い勢いで何かがぶつかって来た。

そのおかげで襖が外れ、外の光景が丸見えだ。



ぶつかって来た何かは銀時に胸ぐらを掴まれたトシ兄だった。



「ふざけるな、だぁ?

そりゃあこっちの台詞だ。

アイツにあんな顔をさせたお前らなんざ神楽の言う通り会う資格なんざねぇんだよ。

それどころか【仲間】だとか名乗る資格もねぇ。



アイツが会いたく無いっつってんだ。
ここは大人しく帰ったらどうだ、多串君よォ?」



今まで見たことないほど怒りに顔を歪めた銀時にアタシは心臓が高鳴った。

それは激しさを増し、どくどくと血の流れを早くして行く。



そんな時、パチリと総悟と目があった。






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