涙恋ーRUIRENー

□再び傘被りの少女
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桜の行方がわからなくなってからすでに一週間が過ぎた。


ジメジメとした時季が続き、イライラが募ってくる。



そんな中。


派手な着流しを着て、傘を被った少女が真選組屯所前にいた。



『たーのもー!いや、それはちょっと変だな…ここは素直に普通に入って行った方が…あ、でも…』



ワタワタと一人様々な動作をしている少女を不審に思ったのか、彼、山崎がその少女に話しかけた。



「あの、何か用事ですか?」


『あ、ザキ!』


「へ?」



話しかけた山崎に少女は笑顔になると、急いで傘を取った。

その少女の顔を見て、山崎は大きく目を見開いた。



「さ、桜ちゃん!?」


『やほ〜、久しぶり!』


「きょ、局長ォオ!副長、沖田隊長ォォオォオ!!」


「何だザキ!事件か!?」


「騒がしいな、何事だ。」


「なんでィ山崎。俺の睡眠を害した罪は重いぜィ。」


「さ、さ、さ、桜ちゃんが!」



それぞれ様々な反応をし、屯所から出てきた三人に山崎は慌てて少女を指差した。


当の少女はニッコリと笑顔を浮かべて軽く片手を上げた。



『おっす、オラ桜!久しぶり!』



そんな少女を見た沖田は素早く彼女の腕を引っ張ると力強く彼女を抱きしめた。


いきなりの行動に驚いた少女は戸惑いながらも沖田の背中に腕を回す。

気のせいか、微かに沖田が震えて居るような気がする。



「…おかえり。」


『た、ただいま!』



小さく呟かれた言葉に彼女はフワリと微笑み答えた。











涙恋ーRUILENー


(こら総悟!勲にも桜ちゃんを抱きしめさせて!)


(嫌でさァ、ゴリラが移る。あ、もうゴリラか。)


(んだとこの腐れポンチがぁぁあ!表でろ、相手してやる!)


(上等でさァ!)


(トシ、総悟が、反抗期…)


(泣くなよゴリっ…近藤さん。)


(今ゴリラって言いそうになったよね、なったよねェェエェエ!?)





fin.

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