星空劇場版ー白と黒のコントラストー

□Bird of midnight
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鳥、トリ、とり。

鳥は鳥でも様々な種類がある。
鴉や鷹、鳶に雀、梟なんかも全て同じ鳥だ。


そう、何が言いたいかと言うと俺は…



「おい。」


『は、は、は、は、はいっ!?』


「動揺しすぎよ、ガル…」



はい、道が分からず『鳥について行こう!』と馬鹿な事を思いついた俺は現在進行形で迷ってます。
正直神田先輩が怖すぎて後ろ振り返るのも恐い。ただでさえ真っ暗な森の中だ。唯一の灯りは月明かりのみ。
そんな月明かりも曇り空の所為で姿を消してしまっている。月は恥ずかしがり屋なんだな、可愛いやつめ☆

………嘘ですごめんなさいマジで調子に乗りましたいいから早く出て来てくれよ月の野郎この野郎。



『雨、降りそうっスね…』


「チッ…」


『っ!?』


「神田。そんな怒らないの。」



イライラMAX神田先輩は大きな大きな舌打ちをする。あの、視線が背中に突き刺さるんですが。マジ勘弁してください。



「それにしてもおかしいわね。」


「何がだ?」


「何だか同じ所をグルグル回ってるような気がするのよ。ほら、あの木見て。特殊な形をしてるからってガルが気持ち悪いって森に足を踏み入れた時に言ってたでしょ?」


『本当だ。』



リナリー先輩が指差した方を見れば確かにあった。人のような形をした不気味な木。
森に足を踏み入れてすぐに見つけた木だ。気持ち悪いからギャーギャー騒いでたら神田先輩に蹴られたっけそういや。



「AKUMAの仕業か?」


「そうかもしれないわね。」


『いや、違うと思います。』



AKUMA、の仕業ではない。そう捜索部隊の勘が伝えてくる。一見AKUMAの仕業に思えるがこの騙された感覚は…妙に覚えがあるぞ。



『これはきっと“幻術”です。』


「幻術?」


『はい。俺たちが森に入る前に見た真っ黒の鳥。鴉じゃないのに漆黒の色をしたあの鳥を覚えてますか?』



リナリー先輩と神田先輩を見れば、二人とも静かに頷く。あぁ、月が出て来たな。



『きっと、あれが幻術の種だったんスy「イギャァァァァァァア!!」っ、イギャァァァァア!?な、何スか!何なんスか!?』



かっこよく説明している時に誰だぁああ!と聞こえて来た悲鳴にビクビク怯えながら心の内で叫ぶ。リナリー先輩と神田先輩を見れば二人とも警戒体制になっており、俺も慌てて二人のうしろに隠れる。


どんどんこちらに近づいてくる複数の人の気配。草が身体を掠めるような音が静かな森に響き渡る。

緊張からか、手は汗でぐっしょりと濡れていた。



「来るぞ。」



神田先輩がそう呟いた瞬間、草陰から黒い影が飛び出してきた。それにすかさず神田先輩が襲いかかる…が、ギリギリの所で神田先輩の動きが止まった。



「うおっ!?ユ、ユウっ!!」


「あれ、なんでこんな所に神田とリナリーとガルがいるんですか?」


「本当だ!リナリーがいるゥゥウ!!」


「何でテメェ等がこんな所に居んだよ。」


「ラルク…それにアレン君にラビも…」



草陰から現れたのは会話から分かるようにラビ先輩にアレン、そして初めて見るラルクさんだった。あれ、確かラルクさんって医療班長じゃなかったっけ?







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