星空劇場版ー白と黒のコントラストー

□Blond butler and haunted house
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何処かで雷が落ちたような音がした。雨は激しさを増し、数メートル先が見えない程視界が悪い。最悪だ。



「っ!!」


「どうかしましたか!?」



突然止まった神田先輩に続き俺たちも慌てて足を止める。うしろから状況がよく分かっていないアレンが叫ぶが誰も言葉を発そうとはしない。いや、言葉が出ないと言った方がいいだろう。



『ゆ、ゆ、ゆ、幽霊屋敷ィィィィイ!!』


「ギャァァアァァァァア!!」



俺が叫べばナイスタイミングで轟く雷。一歩うしろにいたラルクさんは幽霊屋敷が怖いのか、はたまた雷が怖いのか、その場でしゃがんで縮こまってしまった。

え、何この人。普段噂で聞く勇ましさはどうした?毒舌さはどこに消えたんだ?これじゃただのか弱い女の子じゃないか。



「や、や、ややややばいよやばいやん!帰ろう、死ぬ、バイバイお兄ちゃん。」


「正気に戻るさ、ラルク。」



うへへー、と目がイッてしまったラルクさんをラビ先輩が支え、リナリー先輩と神田先輩、アレンは目の前に聳え立つ幽霊屋敷を調べるように眺めていた。

いつのまにか、追いかけていた猫と鳥は姿を眩ましどこにも見当たらない。もしかしたらあれ自身が幻なのかも知れない。



「おい、ガル。交渉しろ。」


『はっ!?交渉って、ここを宿にするつもりっスか!?』


「仕方ないわ。この雨じゃ野宿もできないし…」


「屋根があるだけで全然イイじゃないですか。」



深刻な顔をして話すアレンに少し哀れんだのは秘密だ。彼は一体どんな生活をしてきたのだろう。流石のクロス元帥でもアレンを路上で寝かせたりするとは考えにくい……よな。



『はぁ…分かりましたよ。』



神田先輩に睨まれれば逆らえる筈がない。俺は深いため息を吐くと、うざったい前髪を掻き上げ大きな門についた小さなインターホンへと手を伸ばした。






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