瞬間チョコレート!

□犬、雉ときたら猿
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何度も何度も目を擦った。
何度も何度も良く周りを見渡した。
だけど、目の前に広がるのは見たことない風景ばかりだった。










ー02.犬、雉ときたら猿ー










『あ、あれ?』


目を必死に擦り、何度も瞼を開くが周りの景色は変わらない。


まるで京都の映画村のような風景だが、地面はちゃんとコンクリートだ。
それに、ビルやコンビニもあるし、何しろ車や原付きが走っている。



『何処だ、ここ?』



立ち止まっていても仕方が無いのでとりあえず歩き始めた。

が、道行く人々にまた首を傾げる。

着物や袴を着ている人も居れば、洋服を着ている人もいる。
それに、変な頭の奴らも居るし…確実にこれはタイムスリップじゃなくて異世界トリップだな。



『うわぁ、犬頭に雉までいるや。』


すれ違う動物頭の奴らをジッと見て居れば馬面の男(?)と目が合った。



「何だ貴様ァ!ジロジロ見おって!ワシの顔に何か付いておるのか!?」


『いいや。あ、でも、しいて言えば馬顔が付いてますよ?』



突然大声を上げた男はズカズカとこちらに歩み寄って来る。
周りの人達を見れば、何やら心配そうに僕を見ていた。

なんだぁ?
こいつはどっかのお偉いさんなんか?いや、違うな。
こんな馬面がお偉いさんなわけがない。


一人で問題を解決して居れば、目の前の馬面が何かを僕に突きつけてきた。
意識を馬面へ移せば、それが日本刀だと分かり顔が引き攣る。



「貴様っ、我ら天人を侮辱するつもりかァ!!」


『いやいやいや!僕はただ、正論を述べただけ…ってうわお!?』



何故か怒っている馬面は僕の言葉を聞かずに刀を振りかざしてくる。
それを何とか右へ避けて顔を青ざめた。

てか、天人って何?



『ちょ、馬面さん!急に斬りかかるなんて常識外れにも程がありますよ!?』


「うるさい!!ワシを侮辱した事、許さんぞ!」


『あ、馬面だってことコンプレックスだったんですか?』


「貴様!」



メチャクチャに刀を振り回す馬面に僕は軽々と避けながらちょっかいを出す。

何でだろう。
こっちの世界に来てから反射神経が抜群に良くなったし体が軽い気がする。
いや、【気がする】じゃなくて実際に良くなっているし体も軽くなっている。



「避けてばかりか、若造!男の癖に逃げ腰とは笑わせてくれる!」



唾を撒き散らしながら叫んだ馬面に僕は笑みを固めた。

こいつ、今【男】っつった?
言った?言っちゃったよね?

ふふっ、よし。

売られた喧嘩は買うのみよ。



『誰が男じゃ、おんどりゃわれェェェエエ!!』


「くぼらぁぁあ!!」


『は、こんなものか。』



素早く馬面の刀を蹴り上げ、懐に入り込むと下からアッパーカットを食らわせる。

叫びながら後方にぶっ飛んで行った馬面に近寄れば、白目を向いて意識を失っていた。





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