オギナイアエタラ

▼書込み 

02/12(Thu) 00:22
兆しは見えていた
ななき

久し振りに当たる雨は、
肌に突き刺さるように。

雷が胸の中で鳴る。
睫毛に暗雲が立ち込める。

真っ暗な中に街頭が一つ、
光の傘が雨を照らし出す。

夕闇に見えた雨の兆し、
前日は金色の麦を燃やしていた。

風が運んだ小さな気球達は今、
雨に落とされ、水に流されている。

草木の悲鳴がガァーと言う。

雨を受けていた右手に、水は溜らない。
曲がる背骨を無視して真っ直ぐ落ちてく雨。
その時そこにいた黒服の男は、
一つの暗雲となった。
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