小話∀

□好きなのに
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好きなのに




好きで好きで好きで、大好きなのに、どうして?


「高杉さん、おはよう」

そう言うと笑顔でおはようって返してくれる。

それから席が隣同士の俺たちはくだらない雑談をして、笑い合って…

高杉さんにとってはなんでもないような時間だって俺にとっては大切な時間で。

高杉さんが俺だけを見ている、俺だけに向かって話している、俺だけに笑いかけている。

それだけのことがただ嬉しくて。

今だけは、この時間だけは高杉さんは俺のもの。



でも遅刻ギリギリの時間になって教室に入ってくるアイツ。

眠そうな顔をして入ってきたそいつに、高杉さんの目は引きつけられる。


「おはよう」

高杉さんがそう言うと、眠そうな顔したままおはよう、と返す。

それだけで高杉さんは嬉しそうな顔をして。

銀髪を追いかけるその目に、もう俺は映っていない。

アイツが登校してきたその時から、もう高杉さんは俺だけの高杉さんじゃない。


それが切なくて苦しくて、好きなのに、どうして?

でも高杉さんも女子に囲まれて笑う銀髪を見て、切なそう。


ほら、苦しいでしょう?
寂しいでしょう?

なんで自分を見てくれないのって。

俺も一緒なんだ。

高杉さんが俺を好きになれば、俺たちは苦しくなくなるのに。


俺は高杉さんが好きで、高杉さんはアイツが好きで。アイツは高杉さんを見ていない。

一方通行、返ってくることのない、好き。


君はどうして俺を好きになってくれないんだろう。


好きで好きで大好きなのに、どうして?



++++++++


…どうしてこうなった;;

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