小話∀
□1銀
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《銀八×保健医高杉》
銀魂高校保健医、
高杉晋助。
黒髪美人で校内でも有名な彼の仕事場、保健室には毎日様々な理由をつけて誰かやって来る。
授業開始のチャイムが鳴ってしばらくすると、今日もガラガラと扉を開く音が聞こえた。
その音とともに聞こえた陽気な声。
「失礼しまーす」
「わかってんなら帰れ。」
直ぐさま返された言葉にたじろぐ銀八。
「は?え?」
「失礼だってわかってんだろ。」
「いやいや、せっかく晋ちゃんが寂しいだろうと思って来てやった銀さんにそれはないんじゃない!?」
高杉は銀八を引きずり、扉のところまで行くと押し出した。
そのまま清々しい笑顔で言う。
「俺ァ寂しくねぇから帰っていいぜ。じゃあな。」
銀八は閉められようとする扉を慌てて抑え、部屋に体を戻す。
「嘘嘘嘘ですっ!俺が晋ちゃんに会いたくて寂しかったの!」
「…なんでだよ気色悪ィ」
「それは晋ちゃんが好、ぐはっ!!」
言いかけた銀八の左頬に高杉の拳がヒットした。
「ああ悪い、手が滑った。」
「晋ちゃん顔は無しだよ!?しかも今本気で殴ったよね?痣出来てるよね?」
「そういや今日天秤座12位って言ってたな。」
「無視!?てか星座占い見てるんだ!?」
「いや、11位だったか?」
「あのー?」
「ん?10位だったかもしれねぇ。」
「完璧スルーですかコノヤロー」
「やっぱり11位だ!!」
「あれ?何かな?銀さん目から汗が…」
「11位だよな、うん。おい銀八、そこ座れ。」
散々無視をしてから、銀八にいきなり言う。
顎をしゃくった先には、高杉専用の椅子の横にある高杉のより小さな椅子。
言われた通りに座ると、横の椅子に高杉も座り何やら器具を選び始めた。
「高杉?どうしたの?」
「黙ってろ。」
「はいっ」
高杉は消毒液を脱脂綿に含ませ、今さっき自分が殴った左頬の当たりに当てる。
「痛っ…」
「消毒してんだしょうがねぇ。」
それからガーゼを少し大きめに切り患部を覆うとテープで止めた。
慣れた手つきで行われていくそれを思わず目だけそちらに向けてじっと見ていると、終わった、と高杉の声で我に返る。
頬を覆うガーゼを手で触り、確認すると嬉しそうな顔をした。
「晋ちゃん、なんか銀さん感動!!」
「…思ったより強く殴っちまったからよ、自分の始末は自分でつけただけだ。」
「晋ちゃんに手当てしてもらえる日が来るなんて…晋ちゃんありがとう!!」
「…っいいから、もう帰れ。次授業あるだろ。」
目を必死に泳がせた高杉の頬に朱が差しているのを認めると、スキップでもしだしそうな足取りで扉に向かって行ったのだった。
「晋ちゃんまた来るね!」
「来なくていい…」
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