小話∀

□アイツと彼女の密事情A
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「銀時ぃー」


「………」


「銀時ぃー」


「………」


「なァ銀時」


「……なんだよ」


「愛してる」


「……………」


坂田銀時16歳、最近付き纏われるほどに熱烈なアピールを受けています。





………しかも男から!









「銀時ー、抱いてぇ」

「ぶッ!」


思わず飲んでいたジュースを吹いてしまった。

これが女の子からの誘いだったら一も二もなく乗るところだ。

だけど相手は正真正銘男。


「…あのね、悪いけど銀さんそういう趣味ないの」


「ケチくさいこと言ってんじゃねーよ」


「いやケチくさいとかじゃなくてね…」


何が悲しくて男を抱かなければならないのだろうか。

まだ女の子とも経験がないというのに…。

隣をみれば端正な顔が目に入る。

瞬きをする長い睫毛は何処かしら色があって。

まあ高杉は綺麗な容貌をしているから、頑張ればできないこともないかも…っていかんいかん何を考えているんだ俺は。

嘆息する俺の横で、再び高杉が口を開いた。


「そういや銀時」


「なに?」


「好きな奴はできたか」


「…いや、」


突然の質問に戸惑いつつ、はっきりしない口調で言う。

そんな俺の答えへの、高杉の反応は意外だった。


「よかったな」


「何で?」


何がよかったのだろう。

意味がわからず、思わず聞き返してしまう。


「いたらそいつ、どうなるかわかんねぇよ」


「え…?」


にやりと笑う高杉に背筋に寒気が走る。

いると言っていたらどんな事態が起こっていたのだろうか。

そもそもこれじゃ、もしできたって言えやしないじゃないか。

どうなるかわかんないって何する気だよこの男。

しかし、ぐるぐる考える俺を見た高杉は、可笑しそうに笑い出した。


「くく、冗談だ」


「いや、お前が言うと冗談に聞こえねぇっつの」


本当に。

笑う高杉の横でため息をつく。

この男の言うことはどこまでが本当なのかわからない。



そもそも事の発端はいつだったか。

高杉が言うには中学生の頃らしい。

絡まれていたところを助けたとかなんとか。

身に覚えがねぇ…。

人違いではないのかと何度も言ったのだが絶対に銀時だったと言い張られた。

それで入学式の後、いきなり告られて。

何でも友達づてに俺が受ける高校を調べて自分も受けたとか。

ストーカーかよ…。

あの時確かにフったはずなのだがなぜか毎日付き纏われている。

今思えば高杉を助けた(らしい)ときから俺の運命は決まっていたのかもしれない。

とにもかくにも高杉晋助によって俺の高校生活に波乱がもたらされたのだった。






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