お題

□くっつかないでください移ります変態が
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「高杉ー今日授業出るよなー?」

「あー、出るからは・な・れ・ろっ!!」

登校早々抱き着いてきた変態をなんとか振り切り教室に向かう。

「おはよー」

「おはよーございやす」

鞄を下ろしながら隣の席の沖田に挨拶。

「最近毎日授業受けるようになりやしたね」

「あー、変態教師がうるさいからな」

椅子に座ると沖田が体ごと俺のほうを向いてきた。

「高杉…」

「あ?」

「変態といえば…」

「いえば…?」

「変態菌って、知ってやすか?」

「変態菌?」

「そうでさァ」

真面目な顔で沖田が頷く。

「変態は常にこの変態菌を放出しているんでさァ。そして変態菌は風邪のウイルスと同じように感染する…」

「変態菌…風邪ウイルス…」

「どういうことだかわかりやすか?」

俺が首を傾げると沖田は再び話し出した。

「つまり…変態は移る…変態のそばにいると変態になっちまうってことでさぁ」

「!!」

ってことはつまり…

「変態の銀八の近くにいると俺も変態に…!?」

「そういうことになりやすね」

「そんな…」

変態にはなりたくない。

自分から銀八に近づいていくことなんかまずないが、向こうからくっついてくるのだ。

なんとか阻止しないと…。

でもどうやって…

一人で考えながら廊下を歩いていた矢先、後ろから誰かが走ってくる足音。

「たーかすぎぃー!!」

振り向かなくたって誰かは嫌でもわかる。

「来るな、止まれっ!」

「ちょ、高杉、いつにも増して冷たくない!?」

一瞬止まったがまた走り出したので俺も慌てて走る。

「来るなアァァ!!」

「待ちなさい高杉ィィィ!!」

「いーやだっ」

なんでそんなに足速ェんだよっ!

俺も本気で走ってるのに銀八はすぐ後ろ。

「つーかまえたっ!!」

ぎゅうっと抱きしめられて…


くっつくな!移る!変態が!





(「…は?」

「変態菌ってのがいてな、風邪みたいに移るんだぞ」

「変態菌…?」

「沖田が言ってた」

「……」

「なんだよ?」

「…ぶ、ははははは!!何おま、それ信じてんの!?」

「?」

「バカな子ー、かわいー」

「な!?バ、バカじゃねぇ!!」

)



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