連載

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5時間目が終わり国語教室に向かうと、先客がいた。


「晋ちゃーん!」

「お、銀八。6時間目始まるぞ?」

「今日は俺もう授業ないんですぅ〜。晋ちゃんは授業…出ないよねぇ。」

「ったりめーだ。」


彼は俺の椅子にドカリと座ると、ふっと笑う。


「なんか今日、晋ちゃん朝から機嫌いいね?」

「そうかァ?」

「うん。」


まあ、晋ちゃんが機嫌いいっていったら大概…


「多串くん?」


そう聞くと、晋ちゃんはバッと顔を上げて俺を見る。

その目は、どうしてわかったんだと、驚きの色を含んでいた。


「当たり〜?」

「…なんで?」

「ん〜、俺、晋ちゃんのことならなんでもわかっちゃうから。」

「…気色悪ィな。」

「ひどーい。銀さん泣いちゃう。」

「は、泣けよ。」

「え、何?晋ちゃんってSだったの?」

「黙れクソ天パ」


相変わらず口は悪いけど嫌な顔をしないところを見ると、やっぱり今日は機嫌がいいらしい。


「多串くんと何かあったの?」

「昨日話した。」

「………」

「なんだよ?」

「いや、…それだけ?」

「悪ィかよ。」

いや、悪くないけどそれだけって…何処の純情乙女ですか!


「悪くない悪くない。よかったね。」


笑顔を作って言ったけど、本当は多串くんにジェラシー。

話しただけで晋ちゃんの機嫌をとれるなんて。

俺にはできないから。

自分の気持ちにすら気付いてない多串くんなんかより、俺のほうがずっと、晋ちゃんのこと好きなのにね。


「銀八ィー、のどかわいた。」

「あー、はいはい。紅茶でいい?」

「おう。」


2人分のマグカップを用意して紅茶をいれて持っていき、片方を渡す。


「はいよ。」






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